昨夜、NHK教育テレビ「芸能花舞台」で中村雀右衛門の舞踊を見た。以前、ジャッキーが史上最高齢で「京鹿子娘道成寺」を踊ると話題になった時、歌舞伎座へ見に行ったものだけど、あれはもう何年前になるかなぁ。
その「京鹿子娘道成寺」の音楽が長唄であるのに対し、番組でスタジオ収録していた「豊後道成寺」は、清元を使うのが特徴。このヴァージョンの「道成寺」を見るのは実は初めてだったが、やはりかなり感覚が違う。長唄×「京鹿子」のスペクタクル性に対し、「豊後」は清元なので繊細さが強調され、花子の華やかさ妖しさより、娘っぽさが前面に出ているというか。
「京鹿子」みたいな坊主たちのコミカルなやり取りがないうえ、客席から余計なおしゃべりが聞こえてくることもない。さらに、スタジオできっちり背景も音声もコントロールされているから、幻想性は強まる。で、「京鹿子」だと舞台に鐘を置き、それに上って花子が蛇体に変じるが、「豊後道成寺」は鐘を登場させない演出。音楽としては、鐘がゴーン、ゴーンと鳴るものの、あとは踊り手のしぐさだけで鐘がそこにあると表現する。この終幕における雀右衛門の目の表情が、なんともよかった。
「京鹿子娘道成寺」について僕は、娘っぽい可愛らしさでは中村芝翫、身体コントロールの高度さでは坂東玉三郎、“もののけ”性では雀右衛門という印象を持っていた。だから、蛇体に変じるところは雀右衛門が一番好きだったし、昨夜の「豊後道成寺」でも、鐘への執着を演じさせたらやっぱりジャッキーだよね、と思いました。
八十五歳の雀右衛門さん。さすがに足は辛そうですけど、まだまだ頑張ってください。
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昨夜、雀右衛門とともに出演し、解説を加えていた渡辺保の著書。表紙は「金閣寺」雪姫。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20040918#p1)
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