(小説系雑誌つまみ食い 4−−「本が好き!」10月号)
http://www.kobunsha.com/CGI/magazine/hyoji.cgi?sw=index&id=026&date=20060909
親に殺意を抱いた瞬間
光文社のPR誌「本が好き!」が、「親に殺意を抱いた瞬間」というテーマで4人にエッセイを書かせている。執筆者は三浦しをん、松井雪子、渡辺俊介(千葉ロッテ)、そして、坂東眞砂子である。
私の殺意は、鈍感だ。
と書き出される坂東の文章は「親不孝、したい時には、親はなし」と題されている。朝食の約束をすっぽかされたことをきっかけに、母親への怒りが爆発したという話だ。その時の母子の会話は−−
「いっつも、こうやった。お母さんらぁ、私を傷つけても気がついてない」
(中略)
「あんたがそんなに傷ついちゅうとは知らんかった……」
産まれたばかりの子猫を殺して云々というエッセイで物議を醸したばかりの作家が、子としての自分を語っているのだから、妙に味わい深い。
勇気のある編集者は、早急に彼女のエッセイ集をとりまとめるべきだろう。