ポー「大鴉」 - ENDING ENDLESS 雑記帖

（２００６ミステリ回想）

偶然だろうが、有栖川有栖『乱鴉の島』ASIN:4104308021『カオスコープ』ASIN:4488012132、いずれもエドガー・アラン・ポー「大鴉」ASIN:4003230620れた。大鴉が「Ｎｅｖｅｒｍｏｒｅ」と繰り返すあの詩に、死生観、身体性、記憶などの問題を象徴させ、医療をモチーフの一つにしていた点で、『乱鴉の島』と『カオスコープ』には共通性があった。とはいえ、有栖川と山田ではかなり作風が異なるけれど。
一方、三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』ASIN:406182497X、今年３つ目の鴉モノか――と思ったら影禿鷲だった。惜しいっ（てなにが？）。
（関連ムックASIN:4562040475）

そういえば以前、ルー・リードがポーにインスパイアされたアルバムをリリースしていた。タイトル曲〈ザ・レイヴン〉では、あのボソボソと吐き捨てるような声で「Ｎｅｖｅｒｍｏｒｅ」とリフレインするのが印象的だった。
「ネヴァーモア」と記すと、「ー」と「ア」の部分に柔らかい響き、余韻があるかのようにみえる。でも、ルー・リードの発音は「ネヴァモッ」って感じ。「ッ」と、ブチっとちぎるような言い方に、凄みがある。