学校における乱射事件という、あの国の伝統行事がまたもや繰り返されたので、積読になっていたこの本を遅ればせながら読んでみた。
よい。
「胎児を殺すな」と中絶に強行に反対する勢力が存在する一方、人殺しの道具である銃の規制には恐ろしく鈍感だというアメリカが、なぜそんな風になったのか、歴史を遡り解説している。
多くの人種を人為的に統合しようとする理念先行型の国家が、
他者との関係をどう築くか − 性をめぐる問題
紛争をどう解決するか − 暴力をめぐる問題
――という課題を抱え込んだ過程をわかりやすく整理している。そこで浮かび上がってくるキーワードは「リンチ」。この言葉は、アメリカがイラクに対して示した排除、私的制裁の身振りなどを考えれば、すぐに「なるほどね」と納得できるものだ。
裁判、マスコミ、ハリウッド、ポップ・ミュージックなど、いかにもアメリカ的と感じられる領域はいろいろあるわけだが、この新書で語られる図式を頭に入れてそれらを考えると、見通しがよくなるだろう。
そういえば、マリリン・マンソンが4年ぶりの新作《イート・ミー、ドリンク・ミー》asin:B000PDZOMGースする。彼なんか、セックス・シンボルの「マリリン」・モンローと、シャロン・テート殺人事件の犯人チャールズ・「マンソン」を合体した芸名だから、『性と暴力のアメリカ』というイメージ自体をカリカチュアしたキャラクターだわな。
- 最近自分が書いたもの
- 「グーグル時代の物語論」(東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生〜動物化するポスト・モダン2』に関するコラム) → 「ROCKIN’ON JAPAN」5月号 asin:B000P5FGNQ
- 奥田民生『LION』、ユニコーン『ヒゲとボイン』のディスク・レビュー →「音楽誌が書かないJポップ批評」48 奥田民生「アンチスターな男」の20年(宝島社)asin:4796658009
- 21日夜の献立
mixiの「ロック検定」をやってみた。結果は「免許皆伝」。当たり前だろ、というか、ちょっとホッとした……。