ナイン・インチ・ネイルズの新作《ＴＨＥ ＳＬＩＰ》は、公式サイトでの完全無料ダウンロード配信が話題になっている。
http://theslip.nin.com/
ただ、アルバム自体は、トレント・レズナーのこれまでのキャリアの延長線上に存在しており、素直に彼のロック・スター的側面を表現した内容である。レディオヘッドの《ＩＮ ＲＡＩＮＢＯＷＳ》がそうだったように、作品の提供のしかたが挑戦的であるわりには、音楽的な冒険はあまりしていない。穏当な路線なのだ。
ここらへん、さじ加減を考えた、バランスをとった――ということなんだろうか。
ナイン・インチ・ネイルズに関しては、それより先に、２枚組のインスト集《ＧＨＯＳＴＳ Ｉ−ＩＶ》がダウンロード配信とともにＣＤ化されている。こちらのほうも、従来行ってきたサウンド革新の域を出ていない、といえるかもしれない。けれど、トレント・レズナーの音嗜好のなかでも特に鋭角的な部分、繊細な部分（ノイズ、アンビエント）ばかりを丹念にすくい取って集めた印象がある。
その意味では、《ＴＨＥ ＳＬＩＰ》以上に濃密な感覚が得られるし、昔からインストものが好きな僕としては《ＧＨＯＳＴＳ》のほうをより多く聞きそうだ。
（関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20071206#p1）
- 最近自分が書いたもの
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