『ゼロ年代の論点』発売から約1ヵ月が経過した。一方、1年前の4月には共著『バンド臨終図巻』が刊行されたわけである。この2冊は、扱っている題材は批評とバンドだし、まるで関係がないのだけれど、今思えば自分の書きかたは、けっこう共通していると思う。
『バンド臨終図巻』で僕が担当した項目は、60〜70年代に活躍したプログレ、ハード・ロックのバンドが多かった。それについては、ディープ・パープルとレインボーとブラック・サバス、キング・クリムゾンとイエスとエマーソン・レイク&パーマー――といったぐあいに人的交流のあるバンド個々の項目をあわせて読むと、プログレ、ハード・ロックといったジャンルの生態系や空気が自然と浮かび上がるような、そんな書きかたを心がけた。
これに対し、『ゼロ年代の論点』も、批評本を一冊一冊、あるいは批評家を一人一人紹介するというより、それぞれの相関関係、複数人がかかわった議論やテーマの結び目としての論点を記述するように努めたのだった。その意味では、(たぶんそうは感じられないだろうけど)基本的な執筆姿勢は『バンド臨終図巻』とあまり変わらなかったのである。
(『ゼロ年代の論点』の内容 http://d.hatena.ne.jp/ending/20110208#p1
著者インタビュー http://www.sbbit.jp/article/cont1/23052)
(『バンド臨終図巻』速水健朗・円堂都司昭インタビュー http://www.sbbit.jp/article/cont1/21690)
ゼロ年代の論点 ウェブ・郊外・カルチャー (ソフトバンク新書)
- 作者: 円堂都司昭
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
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(――などと書くと、「あー、『ゼロ年代の論点』てのは“ゼロ年代批評臨終図巻”なのね。終わった終わったー」とかいいだす人がいると思われ、その顔も思い浮かばなくはない。なにかと、皮肉でまぜっかえしたがる人というのはいるから)