ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

レノンあれこれ

《ラヴ〜アコースティック・ジョン・レノン》と《ロックンロール リミックス&デジタル・リマスタリング》のレノン・アイテム2枚が発売された。上記ムックも、当然、それらの発売にあわせた企画である。
さて、《ラヴ》は賛否両論のようだ。まるで“甘いラヴ・バラード集”であるかのような日本タイトルに比べ、実際はデモやライヴのあらい(荒い/粗い)演奏ばかりなのは、外見と中身が乖離している。しかも、未発表テイクが7曲あるとはいえ、既発表音源が半分以上を占め、“マニアックな発掘作業”に徹したわけでもない。そこで、透けて見えてくるのは、企画選曲したレノン未亡人=オノ・ヨーコの顔だって話になる。

Acoustic

Acoustic

曲順をみると、ジョンがヨーコの真似をして歌ったM6〈コールド・ターキー〉の次、M7にヨーコ本人がヴォーカルに加わった〈ラック・オブ・ジ・アイリッシュ(ライヴ)〉を配置して、二人の歌いかたを比べやすくしてある。この並べかたは、ヨーコが二人の距離の近さを、あらためてアピールしているみたいに思えた。また、M13〈愛するヨーコ〉の次にM14〈リアル・ラヴ〉を置いたのは、ヨーコが「私への愛こそが、本当の愛だったのよ」と今さら主張しているごとく感じられる。ここらへん、ヨーコはいくつになってもジョンのことでは子どもっぽいなぁと微笑ましく思うか、自意識過剰の大人気ない商売だと唾棄するかで評価は変わる。まぁ、後者寄りの感想を持つ人が、かなり多いみたいだけど……。
また、この企画盤のテーマとしてヨーコは「二人の愛」以外に、9.11後の世界に向けてあらためて「ラヴ&ピース」を打ち出すことも意図していたはず。歌入りでは最後の曲M15〈イマジン(ライヴ)〉を、M14〈リアル・ラヴ〉とM16〈イッツ・リアル〉(インスト)の2つの「リアル」でサンドイッチしたのは、かなりコンセプチュアルな印象だ。〔人は僕を夢想家と呼ぶかもしれないけれど〕というフレーズがある反戦歌のスタンダード〈イマジン〉について、「いいえ、これこそリアルであるはずなのよ」とあらためて訴えるヨーコの姿が容易に思い浮かぶ。この種の主義主張ぶりも、ヨーコ作の“ジョン「愛と平和」レノン”に反発し“ジョン「ロックンローラー」レノン”を愛好する層には、苛立たしいだろう。
けれど、弾き語り中心のこの企画盤を聞いていると、アコギでリズムを刻む時のちょっと荒っぽい弾きかたとか、甘めのラヴ・ソングでも常にどこかぶっきらぼうさが残る歌いかたとか、ジョン特有のかっこよさが結局、耳に残る。一般的には、アコースティック=やさしさ、ロックンロール=激しさのイメージだから、今回の2枚同時発売は、ジョンの両面を聞かせようという営業戦略なんだろう。でも、《アコースティック・ジョン・レノン》で聞ける荒っぽさ、ぶっきらぼうさは、かえってロックンローラーとしての本質を浮き彫りにしている。だから、僕は今回の二枚発売からは、ジョンの表裏というより、むしろミュージシャンとしての一貫性を感じた。


ところで、上記ムック用の文章を書く際、編集者にいわれて片山恭一著『ジョン・レノンを信じるな』と奥田英朗著『ウランバーナの森ISBN:4062649020説を読んだ。前者は“セカチュー”大ヒット、後者は直木賞受賞でいずれも最近話題の作家である。僕はこれまで読み逃していたが、二人ともブレイクするよりだいぶ以前に、「ジョン」の登場する小説を書いていたのだった。片山も奥田も、作中にジョンを登場させるにあたり、「便通の調子を気にする普通人ジョン」(伝記映画『イマジン』を観た人はわかりますね?)を念頭に描いた点が共通している。その人の「便通」を意識させて小説を書かせてしまうあたり、やっぱり、ジョンは偉大である(……は?)。
ジョン・レノンを信じるな』はジョンの幽霊が出てくる以外は、わりと普通の青春恋愛小説だった。しかーし、『ウランバーナの森』は便秘の話を中心に展開しつつも、立派に泣ける幻想小説になっていて、ジョンに関するエピソードも多数、巧みに織り込んでいる(キース・ムーンも登場します)。この話の数年後、彼にあんな死が訪れるのだと想うと、えらく胸がしめつけられる結末が用意されている。――こんな紹介ではなにがなんだかわからんだろうけど、読めば納得するはずなので、ジョンのファンにはぜひ薦めたい。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/00000602
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20040705

  • 夕食
    • 事情があって、ミニストップの洋風幕の内弁当を買う。ハンバーグ、えびフライが入ってて、ご飯に焼肉がのってるのは、まぁいい。けど、ポテトコロッケ、フライドポテト、ポテトサラダのポテト3連発は、いい加減あきるぞ。それに、コロッケとポテトサラダの食感が、どっちとも業務用チューブから絞りだしたいかにも人工的な食感なのは、いかがなもんか。そうなのよ、明太子と同様に、世の中にはマッシュポテトの業務用チューブっつうもんが存在するんですよ。つうか、弁当の中に、ポテトが三重に入ってることになんで事前に気づかんのかね、自分は……。敗北感。とーぶんジャガイモ食いたくないわ。