居酒屋での呑み会。見覚えのない集まりだが、これはなにかのサークルで、自分も一員らしい。ちょっと離れて座っている女が、「わたしって、こう見えて意外とシビティヴなんだよねぇ」と、自意識過剰気味に喋ってやがる。僕は隣の若い男と、彼女について陰口をいいあう。
「シビティヴってなんだよ、え? それをいうならシビアかネガティヴだろうがよ。け」
ハシを落とした僕は、しゃがんでテーブルの下を覗いて探す。呑み会は座敷で行われていたけれど、掘りごたつみたいに座れる形になっていたのだ。結局、ハシは見つからず、あきらめて体を起こしたところで、目が覚めた。
それにしても、“シビティヴ”って、どこからわいてきた言葉だろう。実際に誰かがいったのを聞いた記憶はないんだけど。そして、直前に見た夢の内容を反芻するうちに、気づいた。その呑み会には10人くらいの男女が集まっていたけれど、覗いたテーブルの下には、足が一本もなかったのだ……。
つまり、あれは幽霊の呑み会だったのか? てことは、自分は幽霊の悪口をいっていたことになるわけで、ひょっとしたら、たたられてしまうのか? そんなはずがあってはまずい。とりあえず、どこの誰だか思い出せませんが、お願いです、ごめんなされてくださいませ。