ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

文学フリマ

昨日、第3回文学フリマに行った。第1回の時は、西尾維新佐藤友哉舞城王太郎太田克史参加の同人誌『タンデムローターの方法論』を購入し、並んでユヤタンのサインをもらうなんてこともしたけれど、第2回は行かなかった。で、第3回は、青山ブックセンター本店のイベントスペースから場所を移し、秋葉原での開催になった。ABCからおたくの街アキハバラへ、というところに複雑な思いを抱いたりもするが、イベントが継続されたこと自体は歓迎したい。
とりあえず、手に入れたものを記す。今はバタバタしているので、合間をみて読めたものについては、そのたびに感想を追加できればと思う(当面、時間的に難しいかもしんないけど)。

「Mighty Bomb Jack  version.1」、「同 version.2」

森田真功――「最果てにて――佐藤友哉『「世界」の終わり』について」第一回/第二回、「『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン』論」(「ファウストVol.1」ISBN:4061795538城王太郎短編についての評)、「壊れた世界に君の声が響き渡る――西尾維新きみとぼくの壊れた世界』について」

「他者=世界」のなかから出られない僕と世界の関係を、ゼロの波の作品に読み込んでいる。自殺したカート・コバーンニルヴァーナ)とゼロゼロ世代の心性に共通性をみてとるあたり、グランジを聞いてから「ファウスト」を読んだ者としては興味深い。ただし、佐藤論は完結しておらず、舞城論も簡易版とのことで、議論が途中で終っている。近い時期にまとまったものを読ませてください。

佐藤克成――「「特殊な自分」の着地点をめぐって――綿矢りさ蹴りたい背中』」、「セックスから遠い場所――絲山秋子山崎ナオコーラ試論」

いずれも、セックスしない登場人物二人の関係がテーマ。僕と世界の距離を測る森田にしても、この佐藤にしても、この2冊の冊子では、関係を読み込む際の手つきの繊細さに好感を持った。(12月1日追記)

「CONRAD vol.1」

西島大介+山田和正による佐々木敦インタビュー

「J文学」なる呼称の発案者は、実は佐々木だったそうな。こんな語感のよろしくない名称を思いついてしまったことは、“音響派”評論家・佐々木にとって汚点だろう(笑)。

「創造者」

佐々木敦が昔書いたショートショート西島大介の挿絵つき。SFとしては王道のオチでしょうね。(12月1日追記)

「Majestic-12 vol.1」

(「kluster vol.03」の大幅改訂版。秋山瑞人西島大介へのインタビュー、佐藤心更科修一郎の批評など)

「作家達の夢束」

村上達朗 ロングインタビュー「作家エージェント制の可能性」

滝本竜彦三浦しをんをプロデュースするボイルドエッグズ代表へのインタビュー。滝本に関し、ライトノベルの感覚で見られないよう、角川書店に対し文庫ではなく単行本で出すように要請したと語っている。庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』を引き合いに出しつつ、滝本について「新しい時代の新しい青春小説」と定義しているのが興味深かった。(12月7日追記)

早大文学 22-23合併号」

早大現代文学会の企画講演会の模様を収録。

大塚英志×スガ秀実「I 文学×サブカルチャー×マーケット」「II 戦後的な、六八年的な、八○年代的な」(2001年11月21日)
小田光雄永江朗・和田敦彦「変容する『読者』溶解する『読書』――それにしてもいったい誰が『読者』なのか――」(2002年11月28日)

大塚は、ゲームのノベライズのように、工場のラインで車を溶接するノリで文章を生産する「ブルーカラー的な書き手」の必要を説く。一方、永江は、「Cut」の宮嵜編集長(元気してる?)と喋った時にCDデッキの普及が渋谷系音楽を生んだという話題になったことに触れつつ、「ブックオフから新しい文学が生まれるのかもしれない」と語る。そして、ブックオフ文学を感じさせる作家として、舞城王太郎乙一の名をあげている。別の場、別の文脈で出てきた大塚、永江それぞれの発言だが、奇妙に響きあっている印象がある。
舞城や乙一は、今の若手作家では個性ある存在と認知されており、「ブルーカラー的な書き手」とは思われていないだろう。でも、舞城は清涼院流水〈JDCシリーズ〉へのトリビュート『九十九十九ISBN:406182306X乙一もコミック『ジョジョの奇妙な冒険・第四部』のノベライズを執筆中だという。二人とも、大塚言うところの「ブルーカラー的な」仕事への抵抗感は、意外とないのかもしれない。
ブルーカラー的な書き手」と「ブックオフ文学」。いずれも、たまたま思いつきが口からこぼれただけって感じの言葉ではある。けれど、それぞれの指示範囲を生真面目に考えたうえで、二つの用語をぶつけてみれば、それなりに興味深い風景が描けそうな気もするのだ。(12月12日追記)

「エフェメーレ2号」

森達也仲俣暁生へのインタビューなど)

「東京アジール

(都市、郊外、地方に関する小批評集)

フリーターズフリー

(フリーターに関する小考察)

  • 今夜の献立
    • 玄米をちょっと削った米によるごはん(玄米と白米の中間)
    • カツオのたたきに熱したニンニクごま油をかけ(ジュッ!)、かぼす酢+しょうゆ
    • 水菜とミニトマトのサラダ(マヨネーズ+粒マスタード
    • サトイモ、鶏肉、ごぼう、大根、大根の葉、タケノコの味噌汁(こぶを漬けた味噌使用)