ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

本のある風景

昨日のアップリンク・ギャラリーにて。
前に座った若い男が、舞城王太郎煙か土か食い物』を読んでいた。買ったばかりらしいノベルス本で。あれ、君、それが文庫化されたばかりなのを知らなかったの? 残念だねぇ、などと内心思う。
すぐ後ろに座った大学生カップルからは、スタージョンだキングだと、なにやら外国の小説の話をしているのが聞こえてくる。
ネビュラ賞って?」
星雲賞みたいなもんだよ」
「ふーん」
おい、そんだけの説明で納得できんのかよ? すげーな。SFが冬の時代から脱したということが、体感として伝わってくる会話であった。


今日。はじめて丸の内オアゾ丸善に行く。
たまたま通った洋書コーナーで(僕は英語できません)、『このミス』(もちろん日本語版)が平積みになっていた。周りには、『このミス』海外部門ベスト10作品のペーパーバックがPOP(日本語)を立てて陳列されていた。洋書部門までもが『このミス』ランキングの宣伝力に期待しているのか、と驚いた。これって、英語で本を読もうと一念発起した日本人向けのコーナーなんだろうか。それとも、日本滞在中の外国人に対し、この国で人気のある小説を読んでみようという気を起こさせるためのものなんだろうか。ちょっと気になる。
このミステリーがすごい!2005年版
さらに気になったのは、「2004 ベスト・オブ・経済書」のコーナーに、ゴリゴリの文芸書である加藤典洋『テクストから遠く離れて』があったこと。1冊ではなく2冊さしてあったので、間違いではなく意図的陳列なんだと思う。にしても、なぜ?