ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

HUMAN AUDIO SPONGEライヴ、YMOボックス

昨夜、NHK BS1HUMAN AUDIO SPONGESKETCH SHOW坂本龍一)のライヴ映像を流していた(インタヴュー、リハーサル風景含む)。10月のイベントでの収録である。


(放映曲)KOKURITSU / ATTENTION TOKYO / SKOTOMA / WAR AND PEACE / FLY ME TO THE RIVER / SUPREME SECRET / WONDERFUL TO ME / RIOT IN LAGOS / CHRONOGRAPH / CHRONOGRAPH / EKOT


インタヴューでは、この3人が集まると周りはすぐ“YMO”再結成と思いたがると語っていた。つまり、これはYMOではないという“意識”なのだ。
ところが、昨夜に続く今朝(←当たり前)、朝日新聞を開くとテレビ欄の横にYMOの8枚組ボックスセット発売の広告が出ていた。過去にバラで出ていた発掘ライヴものを集めてリマスターし、レア音源集もつけるようだ。あら。昨夜の番組は、あるいはこの発売発表に向けた、公共放送であるがゆえの暗黙の(宣伝告知抜きの)前フリだったのか(とはいえ、昨夜とボックスで重なる曲は〈RIOT IN LAGOS〉だけ。内容的には遥かに距離が遠くなった現在の活動が、そのままで、過去の作品のプロモーションにもなってくれるなら、アーティストは幸福だ。でも、なかなかそうはいかないのが現実)。
《L-R TRAX(Live and Rare Tracks)》ASIN:B000793E9SOボックスは3月24日発売予定で、12月30日〜1月28日に予約受付。新聞広告には形状の説明があり、わざわざ「総重量:約1160g」などと記載されていたのが、いかにもYMOグッズっぽい。
ボックスは78年、79年、80年のライヴ音源を中心に構成されるが、その次には90年代の解凍再結成《テクノドン》関連の音源も集成されるのだろうか。「YMO」の上にバッテンをつけた表記で活動したあの頃の作品は、余計な先入観の薄れた今だったら、ただの「音」「響き」として素直に聞かれやすいのではないか(付記:ソニーミュージックのHPによると、来年はメンバーのソロなど周辺作品も再発が予定されている)。
関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20041011

「ポケットに君とアメリカをつめて」

そういえば『ファウスト Vol.4』では、YMOフリークの浦賀和宏が《テクノドン》収録曲〈Pocketful of Rainbows(ポケットに虹をつめて)〉(エルヴィス・プレスリーのカヴァー)をもじって「ポケットに君とアメリカをつめて」という作品を寄せていたっけ。抽象的に要約すると、アメリカを探して森の外に出た少年少女が、彼らの暮らしてきた世界自体の“アメリカ性”を発見してしまうSF短編である(作中世界におけるアメリカ性ではなく、私たちのこの現実における“アメリカ性”)。そこには、サイモン&ガーファンクルの〈アメリカ〉が引用されていた(もっとも浦賀には『こわれもの』ISBN:4198505608書もあったので、むしろイエスによるカヴァー・ヴァージョンASIN:B000083OGNいる可能性もあるが)。
関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20041202