ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ジョン・フォックス@高田馬場AREA

昨夜、高田馬場西友の地下にあるこじんまりとしたライヴ・ハウスでジョン・フォックスを見てきた。
70年代末にエレ・ポップ/テクノ・ポップと呼ばれる潮流が起きたけど、最初、その多くはドラマーを使っており、ロックのバンド・サウンドの範疇にとどまっていた(ゲイリー・ニューマンバグルズ、YMOなど)。しかし、ジョン・フォックスのソロ第1作《メタマティック(メタル・ビート)》(80年)とヒューマン・リーグはドラマーがいなくて、当時としてはリズムのテクノ度が飛び抜けて高かった(デペッシュ・モードなどが登場するのは、もう少しあとだ)。
今回、ジョン・フォックスとルイス・ゴードンの2人によって演奏されたライヴは、基本線としてその頃のサウンドの再現だった。〈錆びた地下道〉、〈ノー・ワン・ドライヴィング〉という《メタマティック》の曲は当然、盛り上がる。朗々と歌い上げた〈ザ・ガーデン〉もよかった。また、〈ディスロケーション〉、〈マン・フー・ダイズ・エヴリデイ〉、〈マイ・セックス〉などウルトラヴォックス時代の曲も化粧直しされて登場。特にジョンとルイスががなりまくった〈ヤング・サヴェージ〉(オリジナルはパンク調だった)は、あんたらLCDサウンドシステムか、ニュー・レイヴの人か、と思うようなテンパりぐあいで驚いた。
エレ・ポップ期以降の(ニュー・オーダー〈ブルー・マンデー〉以後の時代ともいえるか)、ジョンがハウス/テクノに傾斜してからの曲も披露されたので、このジャンルの時代推移をざっとおさらいしたような内容でもあった。
ジョンは80年の頃の風情のまま年齢を重ねた印象で、キーボードを弾きながらリズムをとる姿が決まっていて、カッコよかった(アクションの手本は、ベルリン時代のデヴィッド・ボウイだろう。ゲイリー・ニューマンもそうだったけど)。そして、ジョンのヴォーカルが今も歯切れよくパワフルだったことが、嬉しかった。

Glimmer: Best of

Glimmer: Best of

そういえば、客のなかにはゲイリー・ニューマンの最新ツアーのTシャツを着た人がいた。ジョン・フォックスの弟子筋にあたるゲイリー・ニューマンにも来日して欲しいな。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20080311#p2