ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ウォークマンとフランツ・フェルディナンド

新型ウォークマンのCMで、メンバーも出演してフランツ・フェルディナンドの〈Do You Want To〉が流れている。彼らは、初期XTC(ASIN:B000007ULO)やトーキング・ヘッズASIN:B00005GL7Y)みたいな、かつてのニューウェイヴのギクシャクしたダンス・ビートを今的にリバイバルしたバンド。そういえば、初代ウォークマンが発売された1979年は、元祖ニューウェイヴが真っ盛りの頃だった。振り返ると80年代前半は、ウォークマンって機器の新奇さにニューウェイヴの新奇さを詰めて、新奇さの相乗効果を楽しんでいた気がする。
70年代末〜80年代の元祖ニューウェイヴ、そして最近のニューウェイヴ・リバイバルの間には、90年代半ばのブリット・ポップ隆盛期にエラスティカ(ASIN:B00005GRY2)、エコーベリー(ASIN:B0000563F0)あたりがニューウェイヴ・オブ・ニューウェイヴと呼ばれたことがあった。だから、フランツはニューウェイヴの孫世代くらいになるわけで、それだけ時間がたてばウォークマンも変わらざるをえないよな、と思う。
僕が初めてウォークマンを聞いたのは、発売から2年たった81年のこと。昔も今も、新製品ってものに近寄るのは遅い自分なのである。喫茶店で、友だちの女の子から借りて装着したのだが、それまで店内の全員に聞こえていたBGMが打ち消され、自室にいるのと同じく、ヘッドホンで自分だけに向けて音楽が鳴ることの不思議さに衝撃を受けた。けれど、彼女からウォークマンで初めて聞かされた曲はニューウェイヴではなく、どういうわけか、さいたまんぞうの〈なぜか埼玉〉(ASIN:B0000V4MSU)だった……。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/manzoh/


そして僕は最近、〈Do You Want To〉を含むフランツの《YOU COULD HAVE IT SO MUCH BETTER》を、ウォークマンではなくiPodで聞いている。
You Could Have It So Much Better
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20041129