ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ほしのゆみ『奥さまはマリナーゼ』

奥さまはマリナーゼ
HP『絵日記でもかいてみようか』http://members.jcom.home.ne.jp/hsnym/の単行本化。浦安の本屋では、もちろん思いっきり平積みになってます。著者自筆のPOP付きで。
めくってみると、冒頭のマンガで最寄り駅として登場するのが、地下鉄東西線浦安駅。僕みたいな地元民なら、あれ、おかしいな? と思う。「マリナーゼ」というのは、浦安市の埋立て地域に建てられたマンション群に住む奥さまたちを指すはず。でも、そちらの最寄り駅は、JR京葉線新浦安駅なのだ(隣はディズニーリゾートのある舞浜駅)。
あとがきとかを読むと、本当は著者は、ディズニーリゾートと新興マンション地区と、昔漁村だった地域(東西線浦安駅周辺)の中間あたりに住んでいるという。しかし、編集さんの意向で「マリナーゼ」をタイトルに使ったとか。
「浦和」でも「激安」でもなく「浦安」――と地元を紹介する著者の感性は、まず「マリナーゼ」ではありえない。(千葉ではあるけれど)東京に近いマンションに住めている私――という自意識のうち( )内を抑圧して忘却しているのが、いわゆる「マリナーゼ」なのである。「激安」とまでいかないにしても千葉だから多少はお安い、東京都心部からの距離感は「浦和」とさほど変わらない――とどこか意識してしまう著者の感性は、「マリナーゼ」よりは、この地を戯画化した『浦安鉄筋家族ISBN:4253203116(褒めてます)。そこらへんが、僕的には好ましい。これが、バリバリ「マリナーゼ」的に“私、いい生活できてるわ”なノリだったら、ケッ、と思っただけだった。
ま、内容は肩の凝らない結婚生活エッセイですな。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050426