ガイナックスのサイトにおいて、期間限定（明日まで）で配信されている「能舞エヴァンゲリオン」の動画を見た。
http://www.gainax.co.jp/eaw/
『新世紀エヴァンゲリオン』を能にアレンジしたものだが、新たに曲を作るのではなく、伝統的な曲の抜粋で構成されている。このため、特に実験的だったり、ポップだったりすることはない。面がエヴァ初号機をデザインしたものである以外、能らしい能である。
この舞では、碇シンジの苦悩、初号機の暴走、碇ユイの母性といった心情的なテーマを、能の形で抽象化している。そのように、オリジナルのテーマ性を舞台へと移植した反面、ＴＶシリーズの終盤でアニメのお約束から逸脱しようとしてグダグダになったあの体質は引き継いでいない。その意味では、ゲームやパチンコへと、いくらでも展開できるように無毒化された『エヴァ』のヴァリエーションの一つにすぎない。
例えば、庵野秀明がＴＶ版であえてセル画でない部分を挿入したような暴走を、能楽師・山井綱雄が、よりお約束性の強い能舞台でやっていたなら、どうなっていたのか。見てみたかった気はする。
