すでに、第2回配本で『よしもとばなな』ASIN:4163598308でいる『はじめての文学』シリーズ。
文藝春秋HPhttp://www.bunshun.co.jp/book/hajimete/index.htm
第1回配本は、『村上龍』と『村上春樹』だった。
『村上春樹』の場合、「かえるくんのいる場所」と題したあとがきで、著者が自らの執筆活動における短編と長編の位置づけを語り、各収録作について解題的な文章を書いていた。この折り目正しさは、“現代日本文学全集”の1冊といった趣きだった。
一方、『村上龍』は、全258ページのうち100ページを『希望の国のエクソダス』ASIN:4167190052。『はじめての文学』シリーズは、自選“中短編”集として企画されたはずなのに、龍は、長編小説の前半を抜き出し、長々と載せたのだ。ものすごい、バランスの悪さ。そして彼は、まえがきをこう締めくくっていた。
興味を持った読者は、文春文庫で続きも読んでみてください。
まるで、さわりの30秒だけ試聴させるような感覚だ。これ以上聞きたいなら、金払って曲を丸ごとダウンロードするか、CDを買ってくれ、と。龍にとって『はじめての文学』は、“全集”の1冊などではなく、雑誌付録やフェスなどで販促としてまかれる試供品ダイジェストCDみたいなものとしてある。
だから、若い本好きのみなさんは、商品としてできあがっている『春樹』は買っていいけど、『龍』は図書館で十分だと思うぞ。サンプルでしかないものに、金とられたらたまらないもん。
龍と春樹は、相変わらず対照的だなぁ、と思った。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050627#p1)
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050206#p1)