PUSCIFER《V IS FOR VAGINA》
トゥールのメイナード・ジェイムス・キーナンが、ア・パーフェクト・サークルとは別に始めたソロ・プロジェクト。ぶつぶつ呟くようなヴォーカルが多くて、ヒップホップ、ハウス的なトラックで読経している感じとでもいうか。なかには、ゴスペルっぽいコーラスが入る曲も。トゥールやア・パーフェクト・サークルからメタル色をごっそり抜いて、キーナンのとらえどころのないキャラクター性だけ取り出してじっくり熟成醗酵させたみたいな。変な酩酊感があって、くせになる。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050110#p1)
NINE INCH NAILS《Y34RZ3R0R3M1X3D》
ナイン・インチ・ネイルズのリミックスものは、昔から好きだったのだ。例えば、〈MARCH OF THE PIGS〉のシングルに入っていた〈REPTILIAN〉(〈REPTILE〉のリミックス)は、オリジナル以上に好みというか、ナイン・インチ関連の音源のなかで私的にはベスト3に入る。
で、この《YEAR ZERO》のリミックス集。初期のリミックスものでは、ナイン・インチのインダストリアル性を誇張し強調するパターンがけっこう多かったのに対し、今回はテクノ、エレクトロニカ、ヒップホップなどインダストリアルから遠ざかる方向が大半。
そのなかでは、ストリングスでアレンジした〈ANOTHER VERSION OF THE TRUTH 〉(KRONOS)がお気に入り。ナイン・インチの場合、ノイジーなサウンドが中心であるくせに、意外とバラードが似合うトレント・レズナーの歌声とか轟音の合間に流れるピアノなど、情緒的なところがある。そっちの要素をストリングスが拡大増幅している。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20070519#p1)
KORN《UNTITLED》
キーボードを増やし、インダストリアル色、ゴス色を強めるという前作の路線をさらに押し進めた作品。メロディなど曲調は、以前からあるタイプのものが少なくない。だが、アレンジやサウンド・プロダクションが変化している。昔ならギターの音の壁で覆われていた場面が、ギターとキーボード、打ち込みの複合技になっていたりする。いつもみたいな曲であっても、聞き心地が違うのである。
KORNの伝統と変化がいいバランスになっていると思うし、僕はこの路線を引き続き支持する。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20051219#p1)
ところで、KORNの新作にはテリー・ボジオもゲスト参加したわけだが、あまり彼の色は感じない。自分のなかでは、ボジオはUK《NIGHT AFTER NIGHT》のイメージが強いから。あと、ミック・カーンらとのコラボ《POLYTOWN》とか。