ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

“ミステリー”殺人事件

(小説系雑誌つまみ食い 31――「ダ・ヴィンチ」5月号)

ダヴィンチ 2008/05月号
ダ・ヴィンチ」には以前、「ミステリー ダ・ヴィンチ」というコーナーがあった。同コーナーの記事を集めて、『ミステリー迷宮道案内』asin:4840107386という本が出たこともあった。
しかし、昨年5月号を最後に「ミステリー  ダ・ヴィンチ」コーナーは姿を消した。
とはいえ、その後も、同コーナーの一部だった「幽・怪談之怪」、「ミステリー・エンタテインメント新刊レビュー」などは継続していた。
ところが、リニューアル第1号であるこの5月号をめくると、「幽」のページは残っているものの、「ミステリー・エンタテインメント新刊レビュー」はなくなっている。
つまり、“一般的読者”をターゲットに制作されている「ダ・ヴィンチ」は、もはや“ミステリー”というくくりは有効でないと判断したわけだ。
そうであるならば、黙って誌面から“ミステリー”の語をフェイドアウトさせていくよりも、ケータイ小説ライトノベルについて組んだような特集を“ミステリー”に関しても行えばいいと思う。そうすることで、雑誌としての判断や状況認識を可視化し、伝えることが、これまでつきあってきたジャンルや読者に対する礼儀だろう。
特集タイトルはこんな感じか。

ミステリーってどうなの?
ミステリー読者はバカなのか?
ミステリーは終わったのか?


(4月12日付記:「ダ・ヴィンチ」前号=4月号をめくり返すと、目次には〔ミステリー・エンタテインメント新刊レビュー〕と記された脇にさりげなく〔最終回〕とあり、該当ページには、〔※ミステリー・エンタテインメント新刊レビューは、今回で最終回です。次号以降の新刊情報は、「注目本130」「新刊文庫・新書情報」をご覧ください。ご愛読ありがとうございました。〕と、欄外に小さな文字で書かれていた。その点では、黙って誌面から“ミステリー”の語をフェイドアウトさせたわけではない――といえるかもしれない。だが、それらの告知は、目立たないように行われていたにすぎない。これに対し、たとえ短いコメントであっても、雑誌としてこれまでのミステリーを総括する、区切りをつける――という姿勢はみせたほうがよかったのではないか、これからでもやるべきだろう、と僕は思うのだ)