- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
- 発売日: 2010/03/17
- メディア: DVD
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『魔法にかけられて』(2007年)は、プリンセス、プリンス、義母=魔女がいる旧ディズニー的なおとぎ話の世界(アニメ)から、現代のニューヨークの現実世界(実写)にキャラクターたちがやってくる話。穴を通ってプリンセスがおとぎ話から現実に落ちる発端は、現実からおとぎ話に移行する『不思議の国のアリス』の逆ともいえる。
王子と結婚するはずだった未来のプリンセスがニューヨークで出会うのは、離婚問題を扱っていて、娘が一人いる弁護士。日本語版ではよくわからないが、彼は妻と離婚or死別していて、今は結婚を考えている恋人のキャリアウーマン(『アナと雪の女王』でエルサを演じることになるイディナ・メンゼル)がいる。彼は妻との過去の体験のためか、おとぎ話否定論者になっている。
魔女に林檎を食わされたプリンセスは、お約束通り眠る。だが、おとぎの国から追いかけてきた王子がキスしても目覚めない。王子による“真実の愛のキス”は否定され、子持ち弁護士のキスによって救われる。その結果、プリンセスは子持ち弁護士と、王子は弁護士の恋人と結ばれ、互いのパートナーを交換する形でハッピーエンドを迎える。
この映画では、男女の離別が描かれ、恋の一回性と“真実の愛のキス”の結びつきを否定することで、旧来型のディズニー的ラヴ・ストーリーを皮肉っている。おとぎ話ではプリンセスと王子が運命的に出会い、結婚することを疑わないものだ。それに対し弁護士は、男女が婚前にデートすることで相手の人となりを確認するという現代的な習慣を、プリンセスに教える。そのようなカルチャーギャップがいろいろ出てきて笑いを誘う。