ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

LCDサウンドシステム live

残念な結果に終った。昨日、Shibuya O-Eastで、自分としては初めてLCDサウンドシステムのライヴを見た。しかし、途中でジェイムズ・マーフィーが「I’m very sick」とか言ってたので、やばいかな、と思ってたらその通りに。確かに、彼の挙動はところどころ、微妙に変だった。頭がなんか、ぼぅっとしてるみたいな。30分くらい演奏しただけでバンドは引っ込んでしまい、アンコール後も20分程度でおしまい。計50分程度の内容だった。
自分は、ライヴハウスでのステージは、ホール公演みたいにゴチャゴチャ演出があるわけじゃなし、MCも少なく曲間もさほどあけないのが通例だから、1時間もやれば十分と考えている。でも、今回は50分。微妙だけれど、やはりもの足りない。終演後、主催者側からジェイムズ・マーフィーが体調不良でこれだけ演奏するので精一杯でしたということがアナウンスされた時、場内からはわりと温かい拍手が起きた。ジェイムズが懸命にやってたのは伝わってきたので、客としても怒れないムードになっていたというか。それにしても、今が旬のこの時期に、ぱっきりしたライヴを見せられなかったのは痛い。
いや、短いながらも、内容はよかったと思う。まずDJプレイが2時間半ほどあり、それを引き継ぐ形でLCDサウンドシステムの演奏が始まった。それまでのDJプレイとの対比を強調するごとく、いかにも肉体的な生々しいグルーヴが叩き出される。基本的には、ヴォーカル、キーボード、ドラム、ギター、ベースの5人編成だけれど、メンバーがわりと頻繁に担当楽器を変えるのだ。5人のうち4人がパーカッションに回ったり、ベースをツインにしたり、エレキベースにシンセベースを重ねたりと、特にリズムの響きを過剰にする場面が面白かった。ダンス・ミュージック的ではない、バンドとしてのノリを大幅にデフォルメして聞かせる。1人ユニット的なスタジオ・テイクのトリッキーさに対し、ライヴではそうした人員編成のトリッキーさで別種のインパクトを作り出す。
1人が1つの楽器ばかり演奏してるような保守性、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの編成が当たり前と思い込む固定観念。そういうのを崩して、ギターも弾けばシンセもいじります、みたいな連中がわさわさ湧いて出たのがかつてのポスト・パンク/ニューウェイヴだったわけで、LCDサウンドシステムはなるほどその後継だった。
それにしても、ジェイムズは体調不良のわりには声が出てたと思うし、「イェーイェーイェーイェーイェイェーイェー」ばかりで盛り上げるとことかは、圧巻だった。もっと見たかった。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050214