- 最近書いたもの
- 「『巨匠とマルガリータ』と〈悪魔を憐れむ歌〉」、「『NANA』とセックス・ピストルズ」 → いずれも「ロックジェット Vol.20」(シンコーミュージック発行。6月2日発売ISBN:4401619404)
前者は、ロシアの小説とそれに影響されて詞が書かれたローリング・ストーンズの曲について。後者は、ピストルズをリスペクトするバンドが登場する大人気漫画を(強引に)パンクの文脈で読む試み。
……ロシア文学と少女漫画。同時期に書く原稿としては、えらく食い合わせが悪そうである。
でも、ある時期のストーンズとピストルズを、ミック・ジャガー&マリアンヌ・フェイスフル、シド・ヴィシャス&ナンシー・スパンゲン――という風に、“ペアの物語”の角度から見直すことにすれば、2本の原稿は連作みたいになって食い合わせの悪さは解消されるのではないか、と思ったのだった。また、ミハイル・ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』が、小説家と彼に助力する人妻を主人公としていたように、矢沢あいの『NANA』ISBN:4088565991ンバーと素人の女の子ハチとの関係が描かれている。そう考えれば、かけ離れているみたいに感じられる2つの世界だって、同型にみえてくる(これが恋愛の普遍性というものでしょうか。とはいえ、当然、20世紀前半のロシア文学と現代の漫画では質感はえらく異なるけれど)。
……つうわけで、今回書いた2本は、原稿中で直接相互に関係づけているわけではないが、自分としては姉妹作みたいなものになった。
香山リカの『NANA恋愛勝利学』ISBN:4797671319っている自分が恐い。どうも、ハチには魅かれますね。
(〈悪魔を憐れむ歌〉関連の昔の原稿 http://www.so-net.ne.jp/e-novels/tokusyu/k001/hyoron02.html)