ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

QUEENSRYCHE《TAKE COVER》

テイク・カヴァー
クイーンズライクによるカヴァー集。
クイーン〈イニュエンドウ〉も取り上げているのだが、なんか変。基本的には原曲をなぞっているのだけれど、ギターといいヴォーカルといいフレーズをこねくり回して、自分たちなりの節回しを追加している。その追加部分が、曲から浮いている。曲の全体に対して独自解釈を施すならいいのだが、全体をなぞって部分だけ妙にいじるから、バランスが崩れるのだ。同様の状態が、ピンク・フロイド〈ようこそマシーンへ〉のカヴァーにもみられる。
逆に、選曲がはまっていたのは、ブラック・サバスロニー・ジェイムズ・ディオ時代)の〈ネオンの騎士〉。これは素直に聞ける。
また、面白かったのは、ポリス〈シンクロニシティーII〉。後期ポリスの場合、アンディ・サマーズのギターは、ヘヴィ・メタル的なトーンから離れて、いかにライト感覚で弾くかをテーマにしていたところがある。加えてスティングは、ハスキーな声自体が特徴的だから、しつこい節回しで自己アピールする必要はなかったし、むしろぶっきらぼうに歌っていた。なのにクイーンズライクは、かつてのポリスを知る人からすると、ずいぶんこってりしたメタルの方向に持って行きましたなぁ、という風に仕上げている。ところが、アルバムを通して聞くと、この曲はクイーンズライクにしてはあっさりめの演奏だとわかるのだった(笑)。