(小説系雑誌つまみ食い 35――「小説宝石」6月号/「クロワッサン」6/10号)
「小説宝石」最新号では、第2回小説宝石新人賞が発表されており(受賞作は中島要「素見(ひやかし)」)、選考委員の奥田英朗と角田光代による最終選考対談が掲載されている。そこでは、ある作品に対する講評で、角田が次のように発言していた。
ちょっといろいろ詰め込みすぎた感じがありました。詰め込みすぎて、全部が有機的に作用し合ってないという印象を受けました。
実作者として候補作にダメ出しをする角田はあくまで冷静であり、知性的なイメージである。
一方、「クロワッサン」6/10号は「ダイエットのコツを教えます ちゃんと食べても、痩せられる。」という特集を組んでいる。そのメインの企画の主役が、角田光代。
見出しは、
いよいよダイエット結果報告
角田光代さんは、腹8分目ダイエットを6か月続けて、5キロ痩せました。
同号の表紙には、身長158cmの角田の6か月前:体重51.5kgの写真と4月現在:46.5kgの写真が並べて掲載されている。
記事では、彼女のダイエット経過をふり返っているが、指導にあたったのは、『胃袋ダイエット』asin:4774507830という著書のある松本浩彦・甲南回生松本クリニック院長。
松本は肥満に関し、次のように断言している。
太っている原因は、たったひとつ。“食べすぎ”です。運動してないとか、代謝が悪いとか、親も太ってるとか、そんなこと関係ありません。食べすぎだから太る、それだけのことです。
つまり、角田は、食べものを「詰め込みすぎ」といわれたようなものだ。
誌面には松本と角田の対談風景を撮った写真が数点載っていて、角田が自分の太ももをつかんでいる場面もある。そのキャプションは、
「まだ、肉があるんです、このへんにも」
「小説宝石」の新人賞で候補作を選んでいる角田は知性的な人間だが、「クロワッサン」で体重を測られている角田は、肉のかたまりとしての人体である。
人はいろんな面を抱えて生きているわけで、そのレベルごとに「詰め込みすぎ」問題が生じるのだなぁ、と思いました。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20070903#p1)