ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

THE WHO Live at 武道館

昨夜、武道館でザ・フーを見た。ロジャー・ダルトリーのコードを掴んでのマイク振り回しや、ピート・タウンゼントの風車奏法が連発されるの見て、「ああ、フーだぁ」という実感が湧いた。また、自分はステージのほぼ真横の席だったのでザック・スターキーのドラミングがよく見えたが、彼はかなり健闘していた(横顔の輪郭がオヤジのリンゴ・スターに似てた)。〈無法の世界〉が生で聞けただけでも満足だったが、予想以上にいいライヴだった。
ピートとロジャーの2人は、今、「ザ・フー」としてできる最善のことをしていると思う。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20070331#p1
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バンドの登場直前、場内に流れていたのはデヴィッド・ボウイジーン・ジニー〉で、その時にはもう客席から手拍子が起きていた。そして、ザ・フーが出てきて1曲目に演奏したのが、〈アイ・キャント・エクスプレイン〉。このオープニングはよかった。
ジーン・ジニー〉はヤードバーズ的なリズムを使った曲であり、ボウイは同曲収録の《アラジン・セイン》の次作のカヴァー集《ピンナップス》ではヤードバーズキンクスピンク・フロイドなどの60年代楽曲を取り上げ、ザ・フーの〈アイ・キャント・エクスプレイン〉と〈エニウェイ、エニハウ、エニホエア〉も歌っていた。だから、この時期のボウイの曲は、ザ・フーのステージの露払いにふさわしいテイストを持っている。というわけで、家に帰ってから、ボウイ版の〈アイ・キャント・エクスプレイン〉を久しぶりに聞き返してしまった。
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追記)現在、ザ・フーのベースはピノ・パラディーノが担当しているわけだが、彼のプレイを自分が最初に聞いたのはどのアルバムだったかとさかのぼってみると、ゲイリー・ニューマン《アイ、アサシン》なのだった。ニューマンはそれの前作《ダンス》ではJAPANのミック・カーンにフレットレス・べースを弾かせていたわけで、《アイ、アサシン》におけるパラディーノ起用は、カーンの後継として選んだというような意味合いがあったと思う。そんな、暗黒ニューロマンティックなアルバムで弾いていた人が、今ではザ・フーという健康的なバンドに参加して立派に務めているのだから面白い。
昔、《アイ、アサシン》のホワイト・ファンク路線を僕はかなり気に入っていたが、ふり返ってみるとパラディーノの貢献はデカかった。〈ウィ・テイク・ミステリー・トゥ・ベッド〉とか特に。なので、下のものも聞き返している。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20080311#p2
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