ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

DREAM THEATER《Black Clouds & Silver Linings》Special Edition

ブラック・クラウズ・アンド・シルヴァー・ライニングズ(限定盤)
なにかとカヴァーが多い(それも大御所を相手にベタな選曲。ピンク・フロイド《狂気》全曲とかね)ドリーム・シアターだが、今回の限定盤ディスク2がカヴァー集。
そのうち、クイーン《シアー・ハート・アタック》中のメドレー〈テニメント・ファンスター 〜 フリック・オヴ・ザ・リスト 〜 谷間のゆり〉については、オリジナルはロジャー・テイラーからフレディ・マーキュリーへと声質の違うヴォーカルのリレーに妙味があったわけで、そこを一人で頑張ってるのはわかるけどねえ……という感じ。
また、キング・クリムゾン〈太陽と戦慄 パート2〉のカヴァーはベースのフレーズがちょっとハマってなくね?だし、レインボー〈スターゲイザー〉はもう少しドラムが重い方が……とかいろいろブツブツ……。
とはいえ、ドリーム・シアターのカヴァーの選曲は、毎度上手いところをつくよな、とも思う。事実、こうして自分もチェックしているわけだし(笑)。


クイーン+ポール・ロジャースは、ウクライナでのライヴのDVDが出たところ。
ビッグ・ライヴ2008~ライヴ・イン・ウクライナ 【DVD+CD】
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20081204#p1


レインボー残党は、オーヴァー・ザ・レインボーとして来日したばかり。
http://www.zak-tokyo.co.jp/artest/2009/otrainbow/otrainbow.html
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20090620#p1


キング・クリムゾンのライヴ盤のダビングに参加したエディ・ジョブソンと、クリムゾン後期メンバーのトレイ・ガンが組んだUKZは、先日、九段会館で〈戦慄2〉を演奏していた。
http://www.andforest.com/events/UKZ2009/index.html


つまり、オリジナルを演奏していたバンドは元の形では存在しなくなったものの、たとえ変則ラインナップであってもまだ需要はそれなりにある――という微妙なマーケットを多く狙ってカヴァーしてるのよ、ドリーム・シアターは(今回はその他、アイアン・メイデンなども選んでいるけど)。彼らは、けっこう器用なバンドだから、原曲のイメージを大々的に壊してしまう演奏はしないし、愛は感じられる。その分、今は存在しない幻を追いたい人にとっては手頃な職人たちだろう。


そういえば、先月、UKZのライヴに行った時、かなり年齢層の高い客層のなかに多少若い人が混じっているなぁと思ったら、彼はドリーム・シアターのTシャツを着ていた(笑)。
もう途絶えかけている村の伝統行事を復活させて次代に継承しよう、それで村起こしをしようと奮闘している微笑ましい青年団みたいな連中。それが、私のドリーム・シアターに対するイメージです(ものすごい偏見だが)。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20080729#p1