ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

FREEDOMMUNE 0

昨夜、幕張メッセで催された「FREEDOMMUNE 0」に行ってきた。
大友良英あまちゃんスペシャルビッグバンド、冨田勲withスティーヴ・ヒレッジをはじめ、いろいろ刺激的なアクトを見ることができたが、全体的には、同じく幕張メッセでこれまで2回開かれた「ニコニコ超会議」と対(つい)、あるいは裏表のイベントだという感想を抱いた。
「FREEDOMMUNE O」はDOMMUNEというネットのプログラムの、「ニコニコ超会議」はニコニコ動画という動画投稿サイトの、それぞれリアル版の祭りとして企画されている。ネットとリアルの連動(『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』の主要テーマでもある)という点で、両者は大枠が共通している。
内容を比べてみると、「FREEDOMMUNE O」ではBOREDOMS presents 7×13 BOA DRUMの集団ドラム演奏が原始の祈りを思わせ圧巻だったのに対し、「ニコニコ超会議」にはニコニコ超神社という宗教施設のパロディが設置され来場者がお参りしていた。また、前者ではスキルの高いプレイヤーたちの生演奏が聴けたと同時に、Z-MACHINESというロボット・バンドのライヴが行われた。それに対し、後者では「演奏してみた」のコーナーがあると同時に、ニコニコ学会などが科学・技術趣味を披露していた。
以上の例のごとく、同じような領域をめぐり、「ニコニコ超会議」ではネット的なエンタテインメント性が、「FREEDOMMUNE O」では実験性・前衛性が展開されたといった印象なのだ。「ニコニコ超会議」において初音ミクがこの界隈のアイドルとして登場する一方、「FREEDOMMUNE 0」ではミクが初音階段というコラボでノイズの老舗・非常階段と共演していたことが、2つのイベントの“裏表”性を象徴していたといえる。
その意味でおやっと思ったのは、自動車について。「ニコニコ超会議」ではアニメやゲームのキャラが描かれた痛車が陳列された。これに対し、「FREEDOMMUNE 0」ではLEXUS New ISという新車種が展示された。挑戦的なプログラムが多い「FREEDOMMUNE 0」のなかでLEXUSの展示だけはいわば保守的であり、「ニコニコ超会議」の痛車のほうがむしろアヴァンギャルドだった。そこだけ図式が逆転しているのが、なんだか面白かった。

初音階段

初音階段