ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

「音羽キャンディーズ」の時代

 1970年代後半。栗本薫『ぼくらの時代』/中島梓『文学の輪郭』、見延典子『もう頬杖はつかない』が注目された頃、早稲田大学文学部文芸専修(当時)の創設に携わり、彼女たちを後押しした平岡篤頼も話題になった。

 また、栗本、見延、そして『海を感じる時』の中沢けいの3人が、いずれも講談社発のベストセラーだったことから「音羽キャンディーズ」と揶揄されていた。中沢・見延作品は、高校生・大学生という若い女性の性描写が評判になり、栗本作品にそれほど性描写はなかったものの、やはり女子高校生の売春が一つのモチーフとなっていた。そうしたことも含めたうえで、アイドル・グループをもじった呼称が用いられていたと記憶する。「カワイ子ちゃん」あつかいで一人前と認めない雰囲気。

 最近の文芸業界のジェンダーやハラスメントをめぐるあれこれは、あの時代から連続していることのようにみえる。