ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

デス・フロム・アバヴ1979《ユー・アー・ア・ウーマン、アイム・ア・マシーン》

YOU’RE A WOMAN,I’M A MACHINE
鼻の大きさは、その男の股間の大きさに比例する――という説は日本以外にもあるんでしょうか? と思ってしまったわけだ。なにしろ、象の鼻を生やした男2人の絵がジャケットになっているので、そんな連想が働いてしまう。タイトルもタイトルだし。
でも、実際音を聞くと、ジャケットの印象も変わる。ベース&シンセ、ドラム&ヴォーカルの2人組が、無理矢理トリオみたいな音を出している。ベースが音圧を上げつつ強引に高音フレーズを弾いているのだが、やっぱり同じ音域を弾いたってギターとは響きが違う。その音色のけたたましさを知ってからジャケットを見ると、ああ、このベース・サウンド、象のパオーンッ! に近いな、と感じるようになった。性器への連想から、楽器への連想に格上げされる象の鼻のイメージ。
生まれて初めてギターのディストーション、あるいはアナログ・シンセを聞いた時の衝撃――そんな驚きにはもう出会えないだろうけど、たまにこの2人組みたいな変な音を聞くと、あの最初の驚きをちょっと思い出せたような錯覚を起こす。で、たとえ短い間でも錯覚に浸ろうとする。最近、わりとお気に入りで、皿を洗う時のBGMだ。
楽器編成のわりに、曲は実験的ではない(ベースとシンセをどう振り分けてるか、僕には判別できないけれど)。基本的には、それなりにポップな歌メロのあるガレージ・ロックをやるなかで、ディスコ・パンクがあったり、ブラック・サバス〈パラノイド〉みたいなハード・ロック風があったり。バンド名に「1979」という年を入れた理由を本人たちはいろいろあげており、ゲイリー・ニューマン《プレジャー・プリンシプル》がリリースされたこともその一つと語っていた。このアルバムには、彼のチューブウェイ・アーミー時代から〈アー・フレンズ・エレクトリック〉のフレーズを引用した曲もある(M3)。パンク+シンセだったチューブウェイ・アーミーのファーストを、もっとガレージ寄りにしたのがDFA1979だって印象もある。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20041220
2月に再来日するが、客席に、はなわがいたりして。はなわはギターがないばかりかドラムまでなくて1人で歌ってるんだし、考えようによってはDFA1979以上に先鋭的な音楽活動を展開しているのではないか。「ベース・マガジン」で対談を組んだらどうでしょう?

  • 今夜の献立
    • ぶりとごぼうのソテー(しょう油、ワイン、しょうが、にんにく、オリーブオイル)
    • 大根、白菜、油揚げの味噌汁
    • 山芋千切り
    • もやし(ポン酢)
    • わらびの煮付け(残り物)
    • 発泡酒、チューハイ