10日に亡くなっていたのだという。黙祷。
高校から大学にかけて、大江健三郎、安部公房、倉橋由美子の文庫を、古本屋の100円均一などで買い集めていた。そしたら、誰かのエッセイで読んだのだ。この3人は、60年代の文学青年にとって三種の神器だった、と。ああ、自分は20年くらいズレた旧い奴なのだなぁ、と思った(笑)。
安部公房や倉橋由美子(それぞれの前期作品)からは、情緒ではなくある種の論理性によって登場人物を描くこと、作品世界を構築することの面白さを教えてもらった。また“メタ”フィクションの幻惑感も。彼らを読むのと前後する時期に『ドグラ・マグラ』、『虚無への供物』、『匣の中の失楽』などにも接したので、僕にとってそこらへんの文学と本格ミステリは“体感”として地続きだ。
ちなみに、僕の一番好きな倉橋由美子作品は『聖少女』ISBN:4101113092。