クイーン+ポール・ロジャースのライヴ盤が間もなくリリースされ、来日も控えている。それに先駆けて、メンバー公認らしきトリビュート盤《KILLER QUEEN》(現在輸入のみ)が発売された。
オリジナル・アレンジにないアコギを入れたり、R&B的な歌い方だったり、多少色合いを変えていても、わりと元の曲構成は踏まえている――アルバム全体としては、そんな保守的なカヴァーが多い。〈Bohemian Rhapsody〉については2種類収録されているけれど、ミュージカル『WE WILL ROCK YOU』のラス・ヴェガス・キャストを参加させたCONSTANTINE M.、微妙におふざけな荒っぽさを漂わせるTHE FLAMING LIPSの両カヴァーとも、あのオペラティック・パート込みで曲全体を律儀に再現している。SUM41の〈Killer Queen〉にしても、フレディ・マーキュリーの持っていた「男によるフェミニン」なイメージを出そうとしていておかしい。
アッと驚く解釈はないものの、まぁ、クイーンの曲のよさを素直に伝えているので、気楽に楽しめはする。
そうした中で原アレンジからの変化が目立ったのは、BE YOUR OWN PETによってパンク化された〈BICYCLE RACE〉。「自転車自転車自転車」とひたすら叫ぶバカっぽさが、パンクの単純なビートでますます強調されているのがよろしい。
また、LOS LOBOSの〈SLEEPING ON THE SIDEWALK〉は、《世界に捧ぐ》の片隅でブライアン・メイが歌っていたブルージーで地味な曲を、ちょっとラテン調のリズムに変えていて面白かった。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050613#p1)
ちなみに、iTMSでは、本田美奈子『ザ・ヴァージン・コンサート』に収録されていた〈I Was Born To Love You〉(クイーン・ヴァージョンではなくフレディのソロ・ヴァージョンのカヴァー)が買える。ただし、これはファースト・コンサートのオープニングで美奈子が登場する時、バック・メンバーが演奏していたものだが……。
こんな風に、その曲は気になるけどアルバムまるごとは買いたくないなぁ、って時に僕はiTMSを使おうとしている。で、上記の〈Born To Love You〉以外では、ブロンディによるデヴィッド・ボウイのカヴァー〈Heroes(live)〉、グランド・ファンク・レイルロードによるローリング・ストーンズのカヴァー〈Gimme Shelter〉などを購入したのであった。
- 最近書いたもの
- 「《トミー》との共通性を感じさせる作品群」 → 「ロックジェット 21」(シンコーミュージック刊)ISBN:4401619552