ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

岡本太郎「明日の神話」

明日の神話 岡本太郎の魂〈メッセージ〉
ふと気づけば、公開最終日になっていた。
http://www.1101.com/asunoshinwa/
ひたすらテープ起こし、並行してあれこれ業務連絡、炊事という日々。外に出る用事があったついでに、ささっと汐留まで行き、ささっと「明日の神話」を見る。デカい。なるほど、思いっきり岡本太郎。ささっと帰ってきた。
この巨大壁画は、67〜69年の制作だそうだ。ちょうど、「大きいことはいいことだ」という森永のテレビCMが流行した時期と重なる。富士山をバックに、山本直純が気球から指揮し、地上の人々に大合唱させる設定のCMだった。
http://jellyjam.hp.infoseek.co.jp/yell.htm
同時期、岡本太郎は、70年の大阪万博のため、「太陽の塔」関連プロジェクトも進めていた。あの「塔」にも、「大きいことはいいことだ」的高揚感は漂っていた。日の本の国の「太陽の塔」が、国旗を連想させる白と赤を強調したデザインで、万博のシンボルになったのだ。当時のこの国の気分を象徴していたのだろう。
日の丸を連想させる「太陽の塔」からは(岡本の意図に関係なく)、富士山という日本のシンボルを後ろ盾に大きさ(=高度成長)を礼賛した森永CMと似た気分が感じられる。
しかし、「太陽の塔」と対をなすとされる「明日の神話」はどうか。壁画の中心には、「太陽の塔」にもあった、岡本太郎的な“顔”が見える。横に傾いた“顔”がかろうじて背骨とつながっているものの、燃えながら白い骨がバラバラになりつつあるような絵。その周辺には、炎なのか稲妻なのか、赤い色彩がバリバリと描かれている。
太陽の塔」では統一されていた白と赤が、「明日の神話」では旭日旗を引き裂いたように、分離されている。それを、破壊された日本と見ることも可能だろう。
明日の神話」とは、原爆の炸裂した瞬間の光景だという。ならば、「明日の神話」 → 「太陽の塔」のワンセットで、戦後復興の表現になっていたのか。
しかし、今や高度成長どころかバブル景気も昔話となり、「大きいことはいいことだ」的楽観は遠ざかっている。そうした日本の下降プロセスを考えれば、「太陽の塔」 → 「明日の神話」という逆向きのワンセットで、高度成長以後にこの国がどうなったかの暗喩になっている……。この壁画がようやく今頃、修復公開されたための結果論だけれど。


公開が終われば、この壁画は倉庫へとかたづけられる。
展示場所となった汐留シオサイトのビル群は、東京のヒートアイランド現象を悪化させた犯人といわれ続けている。どうせなら、「明日の神話」だけでなくシオサイトごと撤去しちまえと、超破壊的なことを思っている人は、実は少なくないような気もしないではない。
Be TARO!―岡本太郎に出会う本
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050710#p1


この走り雑記のあと、テープ起こしの続きでございます。

  • 30日夜の献立
    • 肉豆腐(オクラをトッピング)
    • キャベツ、ベーコン、玉ねぎ炒め(こしょう。ハーブソルト)
    • 水菜の味噌汁
    • 玄米赤飯
    • ビール