ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

THE CURE DELUXE Edition

《THE TOP》

Top (Dlx)
国内盤ASIN:B000GUK5ZE

《THE HEAD ON THE DOOR》

Head on the Door (Dlx)
国内盤ASIN:B000GUK5ZO

《KISS ME,KISS ME,KISS ME》

Kiss Me Kiss Me Kiss Me
国内盤ASIN:B000GUK5ZY


未発表ライヴやデモなどレア音源をみっしり詰めたボーナス・ディスクを、リマスターしたオリジナル盤と組み合わせたデラックス・エディション・シリーズ。バンド中期の3作である。前期のモノクロームな世界から変化し、カラフルなサウンドになっていった頃だ。
《THE TOP》と前後する時期、ロバート・スミスはスージー&ザ・バンシーズにも参加していた。そして、《HYAENA》ASIN:B0000073U9たジョン・マクガフに対抗するかのごとく、バンシーズで多彩なアレンジを試みた。とはいえ、いまひとつ消化しきれていない印象があったのも事実。意欲的な実験作ではあるものの、完成度の低い曲をシングルB面に使う――そんなパターンがある。いってみれば《HYAENA》は、シングルB面集みたいなアルバムだったのだ。
この作品の後、ロバート・スミスは、ザ・キュアーに専念するようになった。一方、バンシーズはギタリストが固定しなくなり、ジョン・マクガフ〜ロバート・スミスの穴を埋められぬまま、バンドのクリエイティヴィティは低下していった。
しかし、《THE TOP》以降のザ・キュアーを聞くと、《HYAENA》で未消化だった要素が、しっかり消化/昇華されているのである。いってみれば、ロバート・スミスはバンシーズを実験台&踏み台にしたというか、振り返ればスージー・スーは噛ませ犬だったというか……。
もともとバンシーズのファンであり、その関連作としてザ・キュアーを聞くようになった僕としては、両バンドの歩みには、ちょっと複雑な思いがある。でも正直な話、長い月日がたった今では、バンシーズよりもザ・キュアーを聞くほうが多くなっている。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20060607#p1


輸入盤はすでに出回っているザ・キュアーのデラックス・エディション・シリーズだが、国内盤発売もようやく進むらしい。
それにしても、デモ音源がこんなにたくさん残されているとは、ロバート・スミスも意外と物持ちのいいヤツだ。