ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

梅佳代

(小説系雑誌つまみ食い 15――「小説すばる」4月号)

小説すばる」では4月号ASIN:B000O58XRI、「かっぺ道」と題した梅佳代の新連載がスタートした。彼女の写真に自筆コメントを付けたスタイルであり、担当編集者は

地域に土着した所謂“かっぺ”と呼称される人らをフィーチャーした連載にしようと思ってます。

と誌上に記している。
梅佳代といえば、木村伊兵衛写真賞を受賞した人であり、HIROMIXと比べられることが多い。プリクラ時代を代表した若手女性写真家がHIROMIXで、写メ時代は梅佳代だ、みたいな感じだろうか。
で、「小説すばる」は、とかくオジさんくさい小説誌が多いなかで、「野性時代」ほどではないにせよ、ライトノベル的な領域にも目配りして“若さ”を打ち出そうとしている。3月号では女性作家を集め、「〈ガーリー〜GIRLIE〜特集〉」、「乙女のための短編小説」と銘打っていた。“文化系女子”というか、『文藝ガーリッシュ』ASIN:4309017851、その線寄りのイメージづけだろう(千野帽子がどう思ったか、わからんが)。
そのことを知っていると、「小説すばる」が梅佳代を起用したのも、“文化系女子”的なチョイスなのかな、と思う。
しかし、小説誌でいえば梅佳代は、以前から「問題小説」にも写真と短文による「うめかよの『みんなの顔』」という連載を持っている。そして、「小説すばる」の写真がカラーで、「問題小説」がモノクロだということもあるけれど、「かっぺ道」と「うめかよの『みんなの顔』」では、ページの作りは似ているのに、どうも印象が違う。「小説すばる」における“若さ”に対して、「問題小説」では、なんだか“オバちゃんくさい”のである。
「問題小説」4月号ASIN:B000NQDD4Q、表紙に「春の官能&時代小説10本!」と銘打たれている。だいたい毎号、こういう調子であって、中高年向きの娯楽誌として思いっきり開き直っているのが、かえって清清しい。
例えば、4月号で「くびすじにくちびる」という短編を寄せた内藤みかは、他の場所なら“ケータイ小説家”として“今どきの表現者”扱いされたりもするが、ここでは岩井志麻子などと同居して、昔ながらの官能小説として目次に載せられている。早い話が、「問題小説」の誌面では、“オバちゃんくさく”見えるのである。
そして、同号の「うめかよの『みんなの顔』」は、あっかんべーをしている子どもを撮ったもの。この写真から伝わってくるのは、他人に対してなれなれしい“オバちゃんくささ”だ。いちおう“エロかっこいい”ことになっている倖田来未がトークを始めた時のあの“オバちゃんくささ”。あれの、写真版って感じがする。
梅佳代はべつに、「小説すばる」と「問題小説」で違う種類の写真を撮ろうとはしていないだろう。たんに置かれた文脈が異なるだけ。もともと“若さ”と“オバちゃんくささ”が一緒になった感性だと思う。

うめめ

うめめ

  • 20日夜の献立
    • 鶏のオーブン焼き(耐熱皿にバターを塗って、スライスした新じゃがいも、鶏肉。ハーブ塩、こしょう、スライスしたニンニク、パルメザンチーズ。焼けたらレモン汁)
    • たこ焼き(銀だこ)
    • 水菜(ポン酢)
    • ビール、雑酒、チューハイ