- 作者: きつかわゆきお,村田篤司
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2008/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分は、橘川幸夫が(特に1980年前後くらいに)書いていた文章、発想に影響を受けたところがある。
そして、アフォリズム集である彼の新刊に、かつて彼が書いていたのと同じ発想を見つけた。この2つの文章を読むと、橘川の態度は本当に一貫しているなぁ、と思う。
ロックとは、
表現欲求よりコミュニケーション欲求が、
勝(すぐ)っていること。
ウォークマンとは音楽を聴く装置ではない。
音楽以外の音を「聴かない」装置である。
このうち前者の価値観ばかりを膨らませていくと、いわゆる「ロキノン」的なノリになる。ところが橘川の場合、コミュニケーション欲求万歳で落着するのではなく、後者の文章のように、コミュニケーションが成立したりしなかったりするインフラのほうにも興味を持つ(その延長線上で今の仕事ぶりもある)。
あのアーティストがいい、このアルバムが好きという原稿ばかりが並んでいたロック雑誌のなかで、そんな固有名詞の話題よりも、むしろ固有名詞が流通する基盤となる装置(ウォークマンのような)のほうを一所懸命語っていたのが橘川だった。その姿勢は、若かった自分にはクールに見えた。
で、自分は今でも、ここに引用した2つの文章の間を往復するような考えかたをしていると気づかされ、橘川の影響は残っているなと感じた次第。
ただし、次の文章はいかがなものか。
1年に一度くらいは、ちゃぶだいをひっくり返せ!
自分であとかたづけするならいいけど、他人にかたづけさせるのはダメですよ(と料理を作ってちゃぶだいに並べる側の僕は思ってしまったのでした、笑)。