ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

メタリカ《デス・マグネティック》

デス・マグネティック~ストロング・エディション
2006年のサマソニで、フェスであるにもかかわらず、単独ライヴ並みに長時間演奏したのがメタリカだった。でも彼らは、当時の最新作《セイント・アンガー》(2003年)からは1曲も演奏しない一方、スラッシュ・メタル時代の傑作《マスター・オブ・パペッツ(メタル・マスター)》(1986年)を全曲演奏した。この選択は意外だったが、今度の新作を聞いてなるほどそういうことだったか、と思った。


《デス・マグネティック》は、80年代メタリカ的な高速&複雑な曲を、90年代にグランジ化して以後の今のメタリカのグルーヴで演奏したような内容。このアルバムには、〈バッテリー〉、〈マスター・オブ・パペッツ〉、〈ワン〉、〈スルー・ザ・ネヴァー〉などなど、過去の曲を容易に連想させるリフ、リズム、曲展開があちこちに散りばめられている。
すでにキャリアのあるバンドだから、自分たちの得意技を用いるのは当然ではある。しかし、過去に使ったパターンをここまでこだわりなく投入してまとめたアルバムは、彼らにとって初めてだろう。だから、親しみを持てる新作ではあるけれど、ライヴで聞きたいかと問われれば微妙……。収録曲は過去の曲とキャラがかぶるわけだし、ならばライヴでは昔の名曲を演奏して欲しいと思うのが人情だろう。
これに比べると《セイント・アンガー》は、ジャム・セッション&プロトゥールズによる編集というメタリカにとっては初めての制作工程により生まれた作品だったし、他のアルバムと違う新たな響きがあった。だから、06年のサマソニには、同作の〈フランティック〉や〈セイント・アンガー〉を聞きたいと思って行ったのだが、彼らは自分をふり返るモードに入っていたという……。
どちらが好きかと聞かれれば《デス・マグネティック》だけど、どちらが面白いかの問いには《セイント・アンガー》と答えたい――そんな感じ。

  • 14日夜の献立
    • 手羽元のトマト煮込み(オリーブオイル、赤ワイン、にんにく、玉ねぎ、ナス、ピーマン、ハーブ塩、こしょう、欧風だし、ローズマリー
    • かぶの葉の豆腐マヨ和え
    • 玄米と白米で栗ごはん