ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ドラマ版『電車男』にスティクス〈ミスター・ロボット〉

電子変調ヴォーカルといえば、先週放送のドラマ版『電車男』初回、オープニングの秋葉原のシーンで、いきなりスティクスの〈ミスター・ロボット〉が流れたのには驚いた。この曲のサビは、「ドモアリガート、ミスター・ロボット、ドモ、ドモ」という日本語が変調されて歌われる。《Kilroy Was Here》(83年)収録の同曲は、日本語が使われたせいで、発表当時この国でもヒットした。
KILROY WAS HERE
でも、この曲には80年代の日本人へのちょいと皮肉な視線があったはず。自動車に代表される日本産業が元気に海外展開して、現地と摩擦を引き起こしていた時期である。日本人=経済的動物のイメージが生きていて、代表的な商品が自動車や電気製品だった。だから、《Kilroy Was Here》と連動して作られた映画において、大仏みたいな顔したロボットが日本語で歌っていたのには、拝金的行動や機械的生産ばかりと見られていた日本人への揶揄が含まれていたはず。
したがって、電気製品の集められた秋葉原は、ある種“働く日本人”のシンボル的な場所としてあったわけだ、80年代には。それが今では、労働を第一とする価値観は遥か遠くなり、秋葉原ではオタク的価値観が勝利したことになっている。
ロボットのごとく働く勤勉さから、ロボットを愛でる者へ。スティクスのこの曲に久しぶりに出くわして、ロボットのイメージと日本人の関係性はここ20年余りでずいぶん変わったものよのぉ、と思ったのだった。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050312

  • 14日夜の献立
    • タイ風レッドカレー(もらいもののルーで、むきエビ、アスパラ、エリンギ、にんじん、玉ねぎが具。味にコクを与えるため無糖ピーナツバターと炒め玉ねぎを追加。ごはんは100%玄米)
    • レタス、ツナ、コーンのサラダ(ポン酢)
    • グレープフルーツ