ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『女王の教室』最終回

昨夜は『女王の教室』の最終回だった。
で、修道女みたいな、黒ずくめ完全防備のヒロインの衣裳を見ていて、あらためて思った。教師が児童相手に圧倒的な上下関係を作り上げ、これほどこの世の不公平さやどうにもならなさを突きつけ、一人一人を理不尽なまでに追いつめていくのは、民主主義的な教育観からすると、異様で恐ろしいことに思えるだろう。
けれど、修道院や僧院といった宗教施設における教導では、むしろこうしたやりかたは普通だったのではないか。禅寺なんか、足が痛くなるかっこうで座らされ、べつに悪いことしたわけでもないのに、ペシッパシッと木で叩かれるんだし。
規律づくめの厳しい共同生活をさせながら、絶対的立場にある師がこの世の実態を説き、精神的にも肉体的にもどんどん追いつめ、本人自身で悟ることをうながす――かつて、集団を教えることにおいて、このやりかたは珍しくなかったはず(いい悪いはともかく)。
「目覚めなさい」――というヒロインの決め科白なんて、とっても宗教的だ。
しかし、宗教なき場所で、強引にそれをやっていたのが『女王の教室』。拒絶し続ける女教師に対して、感情移入をより激しくしていく子供たちの姿は、新興宗教の成立めいていて、感動的なんだか不気味なんだかよくわからん微妙なものだった。感動ばかりに雪崩れ込むのではなく、この微妙な感覚を最後まで残しえた点において、なかなか頑張ったドラマであったな、と思う。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050911#p1

女王の教室 o.s.t

女王の教室 o.s.t