ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『キング・コング』のリメイク

以前、ニュー・ヨークの街並みの絵をジャケットにしたビースティ・ボーイズ《トゥ・ザ・5ボローズ》に触れた際、こう雑記した。http://d.hatena.ne.jp/ending/20040709

1933年制作の映画『キング・コング』では、コングがエンパイア・ステート・ビルに登り、最後は複葉機に銃撃されて墜死した。で、76年のリメイク版(ジェシカ・ラング主演)の時には、コングは貿易センタービルに登ったのだった。
美女と野獣」的な要素を脇にのけると、キング・コングとは現代化されていない地域、未開、非資本主義圏――つまり非アメリカの象徴で、それがアメリカ=現代の象徴である飛行機によって抹殺される図式である。ところが、9.11では非アメリカの代表であるアルカイダが、飛行機を操りツインタワーに突っ込んだ。そうみるとあのテロは、現代化されたキング・コングが飛行機に乗ってNYを再訪したみたいなものだったわけだ。

これを書いた時点では、『キング・コング』の再リメイク企画が進んでいることなど知らなかった。
今回の映画のピーター・ジャクソン監督は、9.11以前からこの企画を暖めていたそうだが、結果的に、この時期に制作・公開されることになったわけだ。しかも、オリジナルと同様、エンパイア・ステート・ビルに登る設定で。今日から公開のこの映画、どんな風にアレンジされているのか、アメリカ国民はどんな風に見るのか、貿易センタービルが映る76年版は思い出されているのかなど、いろいろ興味はある。でも、劇場で見たいと思うほどではなかったりして。DVD化されてレンタルされたら見よっと……。
キングコング [DVD]
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