ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

冥王星随想

冥王星が、惑星から降格された。「冥王星」が冥土行き?
そういえば先日、「水金地火木土天海冥」という詞の出てくる少年ナイフ〈ロケットにのって〉をライヴで聞いたばかり。今回の件を直子がどう感じてるか、知りたいな。今後、歌のネタにしそうな気もする。理不尽な決定への怒りのガールズ・ロック! とか(笑)。
少年ナイフ ゴールデン☆ベスト
今日の惑星問題関連報道で、ディズニーのプルートは、冥王星(Pluto)発見にちなんで名づけられたと、初めて知った。
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宮川泰サウンド解剖学』

冥王星問題に関しては、『宇宙戦艦ヤマト』などで同星を重要な場所として描いてきた松本零士が、テレビでコメントを求められていた。BGMとして、『ヤマト』でおなじみの「ア〜ア〜」という女性スキャットが流れていた(「私は、イスカンダルのスターシア……」)。作曲したのは当然、今年3月に亡くなった宮川泰である。
僕は昔、宮川泰が新聞に連載していた音楽エッセイを愛読していた(1981年に『サウンド解剖学』という本になった)。いろいろなヒット曲について、譜面を掲げつつコメントしていく。そのなかで〈戦争を知らない子どもたち〉(作詞北山修/作曲杉田二郎)をめぐり、日本語としての「戦争」のイントネーションと、同曲の「戦争」のメロディのくい違いについて書かれていたことを、印象深く覚えている。

 ところで、何としても気持ちのワルイのが譜例5の『戦争を知らない子供達』なのだ。
「せんそう」のアクセントは聞けば聞くほどイヤらしい。これは『アクセントを知らない子供達』というタイトルにすべきだったのだ。

*文字使いママ。「せんそう」には傍点

宮川の本では、『考えるヒット』ASIN:4167107082ップ批評家としても知られる近田春夫が作曲したジューシィ・フルーツ〈ジェニーはご機嫌ななめ〉も、取り上げていた。宮川は〈戦争を〜〉を相手にした時のように、言葉とメロディのバランスを重要な評価軸にしており、〈ジェニーは〜〉については、こう書いている。

譜例は全曲のっからないのが、残念ですが、とくに今回のごとく、メロディーと歌詞のフィットぶりは、全オタマジャクシをのっけないと説明できないもどかしさなのですよ、春夫殿。

ベタ褒めなのである。
さらに、『サウンド解剖学』には、サザンオールスターズ矢沢永吉中島みゆきなど、やがて大御所扱いされる人たちの血気盛んだった頃の曲への論評もある。今読み返すからこそ面白い−−と思える部分も少なくない(文体は当時の流行を反映して、椎名誠などの「昭和軽薄体」に近いけれど)。
例えば、「千春よ! もっとたくましく」と題された松山千春評。

今後は歌唱において清潔、純粋さに、もっとギラギラドロドロした男臭さや、たくましさがプラスされれば万歳であろう。

81年の本である。わははのは。あれから25年、もはや千春にはギラギラドロドロしかなくなったように思うが、万歳なのであろうか(宮川泰も、まさかここまでの変化は望んでなかったんじゃない?)。
近田春夫菊地成孔のJポップ批評を評価する人たちが、宮川泰のヒット曲評を読んだらどんな感想を持つか。僕には興味がある。
ぜひ、復刊を希望したい。
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=33168
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050908#p1

  • 25日夜の献立
    • なすとピーマンのドライカレー(豚ひき肉、玉ねぎ、にんにく。ローリエ。カレー粉、ブイヨン、ワイン、サラダ油。りんごジュース。鷹の爪。こしょう。クミンシード、チリペッパー。玄米ごはん)with らっきょ
    • キャベツとサラダ菜(ポン酢)
    • 雑酒&チューハイ