ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『黒蜥蜴』上演

殊能将之が、真矢みき江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を演じさせたいと書いているのを見かけた。あの役を今演じられるのは、篠井英介タカラジェンヌだ――とも。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/index.html
(篠井は、橋本治脚色『黒蜥蜴』をひとり芝居で演じたことがある)


で、つい最近、知ったのだが、かつて宝塚で(容貌魁偉な)男役トップスターだった麻実れいが、三島由紀夫脚本の『黒蜥蜴』を演じるのだという。
http://www.tpt.co.jp/top/kurotokage.html
三島版『黒蜥蜴』に関しては、これまで美輪明宏(丸山明宏)が当たり役にしてきた。追う者と追われる者は互いが似てくる。ゆえに、探偵=犯人――という昔からある見方でいうと、明智小五郎と黒蜥蜴も似通って当然であり、あの女賊を探偵役と同性である男が女装して演じるのは、理にかなっているのだろう。探偵=犯人の鏡像に魅せられたような関係性を表現するため、ホモセクシュアルなトーンを導入するわけ。
今回、男役経験のある麻実れいがキャスティングされたことは、その裏返しといえようか。


また来年、宝塚花組が『明智小五郎の事件簿――黒蜥蜴』なる演目を、木村信司の脚本で上演する。木村は以前、やはり宝塚で『結末のかなた−江戸川乱歩原作「黄金仮面」より−』を手がけた人。
今度の宝塚版『黒蜥蜴』が、女賊を娘役スターに演じさせるのか男役スターに演じさせるのか、気になるところ。『風と共に去りぬ』のスカーレット、『ベルばら』のオスカルみたいに、気の強い女は男役にやらせるという伝統からすれば、女賊は当然、男役がふさわしいと思うのだけれど。


昔、「コスモスから排除されたアニマ――『黒蜥蜴』論」なる文章を書いたことのある自分としては、2つの『黒蜥蜴』上演に興味はある。とはいえ、諸般の事情で見に行けそうにないのが残念。
ちなみに、その『黒蜥蜴』論が収録された『美輪明宏という生き方』ISBN:4787271288、美輪サイドからの圧力で執筆予定者の一部が降板するなど、すったもんだが「噂の真相」ネタになったっけ。

黒蜥蜴 / 江戸川乱歩の陰獣 / RAMPO黛ヴァージョン サントラコレクション

黒蜥蜴 / 江戸川乱歩の陰獣 / RAMPO黛ヴァージョン サントラコレクション

ついでに書いておくと、宝塚宙組は来年、ルブランのアルセーヌ・ルパンを題材にした『A/L −怪盗ルパンの青春―』という演目を予定しているそうだ。
宝塚歌劇ホームページhttp://kageki.hankyu.co.jp/
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20041101#p1

  • 9日夜の献立
    • ポークシチュー(のつもりが甘いハヤシと化してしまった)(玉ねぎ、にんじん、じゃがいも。バター、オリーブオイル。ローズマリー。赤ワイン。缶詰のデミグラスソース。ケチャップ、ソース。甘さの原因となってしまった玉ねぎペースト)
    • 蒸し野菜(にんじん、玉ねぎ。麦味噌、砕きピーナツ、レモン汁)
    • 玄米ごはん


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