ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

歌う道尾秀介

(小説系雑誌つまみ食い 21――「ミステリーズ!」Vol.23)

ミステリーズ!vol.23

ミステリーズ!vol.23

http://www.tsogen.co.jp/mysteries/index.html
赤朽葉家の伝説asin:4488023932日本推理作家協会賞を受賞した桜庭一樹と、『シャドウ』asin:4488017347本格ミステリ大賞を獲った道尾秀介の特別対談が掲載されている。そこでの道尾発言。

僕にとって物語とトリックというのは、歌に喩えれば歌詞とメロディーなんです。紙に歌詞だけ書いてあってもたいして面白くないし、メロディーだけ取り出してインストゥルメンタルで聞いても面白くない。歌は歌として聞くのが好きなんです。

自分は、本格ミステリ大賞で『シャドウ』に投票した。この喩えでいえば、歌詞とメロディーの両方を引き立てる“転調”の見事さを評価したのだった。


さて、この喩えをさらに応用するなら、詞(物語)はあってもメロディー(トリック)が貧弱なミステリに対しては「お前はラッパーか?」、詞もメロディーもないに等しい作品に対しては「環境音楽か?」と、つっこめばいいでしょうかね。