ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2004-01-01から1年間の記事一覧

KORN《グレイテスト・ヒッツVOL.1》

マリリン・マンソンもKORNも10年選手で、キャリア総括的なベスト盤が出てしまうんだから、グランジ・ムーヴメントの跡を埋めた90年代的ヘヴィ・ロックがもう歴史になったことを認めざるをえない。MMがそうだったように、KORNのベストでも初回限定盤(ASIN:B0…

『おたく:人格=空間=都市』

これは、同展日本館のコミッショナーをつとめた森川嘉一郎の著書『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』ISBN:4344002873、カタログの形に作り変えたようなものだ。「おたく」という人格が「秋葉原」という都市に実体化していった過程を検証した森川の仕事は、…

マリリン・マンソン《レスト・ウィ・フォーゲット》デラックス・エディション

マリマンのベスト盤なら、やっぱりDVD付のデラックス・エディションでヴィジュアルを楽しまないと。僕としては、カラスみたいな黒い羽根背負って歌う〈ロック・イズ・デッド〉がお気に入り。宝塚好きだった身としては、羽根背負ってるだけで萌える。アーシア…

金原瑞人『大人になれないまま成熟するために』

大人になれないまま成熟するために―前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ (新書y)作者: 金原瑞人出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2004/10メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (22件) を見る金原ひとみのパパによる新書。娘は『蛇にピア…

試写会

昨日、村上春樹原作、市川準監督の映画『トニー滝谷』の試写会に行った。来年の正月第二弾用と公開はずいぶん先なので、感想はもっと時期が近づいてからアップすることにする。それにしても、舞台挨拶に訪れた宮沢りえは、きれいで可愛かった。ほんとに、き…

『サウンド・オブ・ミュージック』、ビョーク

ブロードウェイ版『サウンド・オブ・ミュージック』の来日公演が来年1月に行われることを、最近になって知った。ちょっと気になっている。 僕はこれの映画版がけっこう好きで、何度か見直しているのだ。一回ぐらいは、ミュージカル版の生の舞台を観てみたい…

鳥飼否宇『太陽と戦慄』

キング・クリムゾンの代表曲の1つ〈太陽と戦慄partII〉は、大雑把にいってアグレッシヴなギター・リフが耳に残るヘヴィ・メタル的な部分と、ヴァイオリン中心のメロディアスな部分とからできている。そして、映画『エマニエル夫人』サントラ盤には、〈太陽〜…

sonarsound tokyo 2004

昨日、恵比寿ザ・ガーデンホール/ルームで開催された「sonarsound tokyo 2004」の2日目を見に行った。電子音楽のフェスティヴァルだが、「ELECTRAGLIDE」や「WIRE」みたいなダンス寄りの内容ではなく、エレクトロニカ主体のイヴェント。本来は今回の東京版…

「Comic新現実」に「悪魔のようなあいつ」、栗本薫

大塚英志プロデュース「Comic新現実」Vol.1、購入。とりあえず、旧作の再録「悪魔のようなあいつ」(阿久悠作・上村一夫画)をはじめて読む。掲載ページ冒頭にある解説では触れられていないが、この話のTV版が、ある意味でやおい、ボーイズ・ラヴの源流なの…

渋谷陽一と大塚英志

YA

前記、日本語版〈War & Peace〉の詩の朗唱には、ミスチル桜井、よしもとばなな、藤原帰一も加わっていた。いかにも筑紫哲也好みのラインナップである。と同時に、藤原と坂本は雑誌「SIGHT」で非戦をテーマに対談していたし、ばななはロッキング・オンから本…

NEWS23のHuman Audio Sponge

CHASMアーティスト: 坂本龍一出版社/メーカー: ワーナーミュージックジャパン発売日: 2004/02/25メディア: CD購入: 1人 クリック: 34回この商品を含むブログ (83件) を見る昨夜の「筑紫哲也NEWS23」は、番組15周年ということで坂本龍一が出演していた。冒頭…

津田大介『だれが「音楽」を殺すのか?』

レコード輸入権、CCCD、違法コピー、ファイル交換、音楽配信など、音楽著作権にかかわる問題を解説した注目の本。コンピュータがらみの技術や法律など、とかくややこしくなりがちなテーマを、一冊のなかでわかりやすく解説した好著である。著作権にかんする…

初期JAPANと今年のデヴィッド・シルヴィアン

ボーナス・トラックやPV映像(CDエクストラ)を加えて、初期JAPANの3枚が最近、再発売された。これまで、なぜかアナログから買い換えていないままだったデビュー作《果てしなき反抗》を、ようやくCDで購入。初期の美点を再確認した。 グラム・ロック的にグリ…

法月綸太郎『生首に聞いてみろ』とキング・クリムゾン

法月綸太郎の久しぶりの長編『生首に聞いてみろ』が刊行された。その章題は、いずれも英語になっている。 第一部FraKctured(要注目!)、第二部Happy with What You Have to Be Happy with、第三部Dangerous Curves、インタールードFacts of Life : intro、…

夢採集 File.01

居酒屋での呑み会。見覚えのない集まりだが、これはなにかのサークルで、自分も一員らしい。ちょっと離れて座っている女が、「わたしって、こう見えて意外とシビティヴなんだよねぇ」と、自意識過剰気味に喋ってやがる。僕は隣の若い男と、彼女について陰口…

レノンあれこれ

最近書いたもの 「“ジョン・レノン”像の軌跡――“イマジン”の過去と現在」 → 「THE DIG Special Issue ジョン・レノン」(シンコーミュージック)ISBN:4401618866 《ラヴ〜アコースティック・ジョン・レノン》と《ロックンロール リミックス&デジタル・リマス…

10年後の「読者」像

昨日、JAGAT技術フォーラム主催の『10年後の「読者」像』に出かけた。「本とコンピュータ」編集長の仲俣暁生をモデレーターに、永江朗、近藤淳也(はてな代表取締役)、深水英一郎(バーチャルクラスター代表取締役)、江坂健(「Hotwired Japan」編集長)、…

綿矢りさと……

最近書いたもの 「謎解き二転三転、恋愛七転八倒」(黒田研二著『幻影のペルセポネ』書評) → 「本の話」10月号(文藝春秋) というわけで「本の話」が届き、のんきにめくっていると、「南伸坊の20世紀記憶術」で激烈に驚愕する。生まれ年が同じ有名人二人の…

観世流 能「道成寺」

NHK教育テレビで、能の「道成寺」を観た。「道成寺」は歌舞伎では何度か楽しんだけれど(雀右衛門、玉三郎、福助などが記憶に残っている)、能では観たことがなかったのだ。歌舞伎版は、着せ替え人形的な華やかさと長唄のにぎやかさで客を歓ばせる。それ…

ジョニー・ラモーン死去、『エンド・オブ・ザ・センチュリー』

ジョニー・ラモーンが死去した。ついさっき、音楽系編集者から電話で聞いた。ネットで検索したら、やっぱりニュースになっている。ガンだったそうだ。驚いている。だって昨日、ラモーンズのドキュメンタリー映画『エンド・オブ・ザ・センチュリー』の試写会…

『らくだの涙』

あまりにもいろいろと煮詰まってしまい、にっちもさっちも頭がフリーズなので、現実逃避になごみ系映画を見に行った。 モンゴル南部の遊牧民族の暮らしを描いた話。若いらくだが難産の末、初めてもうけた子どもはなぜか白かった。難産でいやけがさしたのか白…

『雫』、再び大槻ケンヂ

「波状言論臨時増刊号 美少女ゲームの臨界点」の目次には、「『雫』の時代、青の時代。」、「『雫』の時代の終わりから」というタイトルがあった。この本では、『雫』が発売された1996年を美少女ゲーム運動のスタートととらえ、その後のあれこれを考察してい…

殊能将之『キマイラの新しい城』

M

移設した欧州の古城「シメール城」をメインに、千葉の山奥に作られたテーマパーク。その“剣と魔法のファンタジーランド”の社長は、城の主の霊に憑かれていた。その霊は750年前、密室状況で殺害されたという。石動戯作(いするぎ・ぎさく)は、その謎を解かざ…

カーネル・サンダース

今朝、ケンタッキー・フライド・チキンの店舗が開店するところを、たまたま見かけた。ちょうどバイトの女の子が、例の人形を店の外に出そうとしているところだった。カーネル・サンダースと向かい合ったバイトの女の子は、人形が前方にあげている両手をやさ…

二階堂黎人 黒田研二『永遠の館の殺人』

M

二階堂黎人&黒田研二の共作シリーズ第三弾にして完結編。二階堂自身がカヴァーの著者のことばで語っている通り、「館もの+サイコ・キラーもの」の内容である。このシリーズは、二人の作家がわいわい語り合ってネタを打ち合わせる場面が思い浮かぶような、…

「ピンク・フロイド・バレエ」

昨日深夜、NHK BS2で、牧阿佐美バレエ団が2月8日にNHKホールで上演した「ピンク・フロイド・バレエ」が放映された。フロイドの音楽を全編に用いたローラン・プティ演出、振付によるバレエだ。とても興味はあったけれど、チケット代が高いので見送った舞台で…

コミケ

YA

必要があって、東京ビッグサイトで開催中のコミケ3日目に行った。ただでさえ人が多いのに、雨降りで衣服が湿っぽいせいだろう、館内まで妙に蒸していて気持ち悪い。そんな高湿度のなか、画面から汁気がこぼれそうなエロ同人誌を売っていたりもするわけだから…

ロック・イン・ジャパン・フェス2004

というわけで、昨日まで3日間、ひたち海浜公園に通ったのだった。 6日 GO!GO!7188(全部見た)――女性ヴォーカルの節回しの面白さに耳を奪われがちだが、3ピースの面白さを濃縮した演奏をする人たちである。 森山直太朗(一部分だけ見た)――テントで見ていた…

イーノのヴォーカル

ブライアン・イーノの初期アルバム4枚が、紙ジャケで再発された。彼がまだソロ・“ヴォーカリスト”だった時期の作品である。 イーノのプロデュース作なら、ディーヴォ《退廃的美学論》のニュアンスに富んだ音作りがいい。アンビエントものなら、《オン・ラン…

『ニッポニアニッポン』で斎藤環とジョン・ディーコン

阿部和重『ニッポニアニッポン』が文庫化された。ここに掲げた表紙は単行本のものだが、文庫もこれと同様に、クイーン《オペラ座の夜》のジャケットのパロディを使っている。で、斎藤環が解説で、この小説における「カードキャプターさくら」や「おジャ魔女…