ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

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「COMIC 新現実」vol.3関連

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展「グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」 森川嘉一郎がコミッショナーとなったOTAKU展を昨日、東京都写真美術館で見る。事前に見たカタログISBN:4344008979った、というのが正直な感想。身も蓋…

NHK「クローズアップ現代」〜ブンガクに異変アリ!?

今夜NHKテレビで放送された「クローズアップ現代」で、「ブンガクに異変アリ!?」という話題をやっていた。若手作家が続々デビューして同世代にウケてます、ってな内容。25歳以下の作家を文学系/エンタテインメント系の区別なくあれこれ紹介しつつ、高橋…

米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』

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昨日春一番が吹いたので、部屋に積んだ本の塔からこの『春期限定』作品を抜き出し、読んでみた。 ライトノベル出身作家によるミステリ。恋愛しているわけでなく、友人とも微妙に違う若い男女二人が、次々に謎に出会う。そして、短編連作を通して説き明かされ…

佐藤友哉『鏡姉妹の飛ぶ教室』

ユヤタン版『漂流教室』『クビツリハイスクール』『ドラゴンヘッド』『不思議の国のアリス』……。 最初のページからいきなり大地震が起こって、土中に埋まってしまった校舎で展開される素っ頓狂なお話。実にご都合主義なことに、ごくわずか生き残ったのは生徒…

『DEATH NOTE』1〜5巻〜

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人の名前を書けばそいつが死ぬノートを使い、世界中の悪人を駆除しようとする大掛かりな設定が、たいした助走もなくいきなり思いっ切り展開されること。とにかく名探偵なんだ疑問の余地はないんだって形で強引に登場するキャラ。この「初期設定」のドライヴ…

ア・パーフェクト・サークル《eMOTIVe》

ほとんどがかつての反戦ソングのカヴァーで占められた新作。メイナード・キーナンはTOOLのハードさ、楽器間のせめぎあいに対し、ア・パーフェクト・サークルでは繊細な音色の絡み合いを前面に出して差別化している。 話題は、ジョン・レノン〈イマジン〉の真…

篠原章『日本ロック雑誌クロニクル』

70年代末までが日本のロック雑誌にとって幸福な時代だったとの認識に立ち、「ミュージック・ライフ」、「ニューミュージック・マガジン」、「ロッキング・オン」、「ロック・マガジン」などの生い立ちと歩みを論評した内容。興味深く読んだ。この本の感想と…

綾辻行人×佐々木倫子/×奈須きのこ

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「月刊IKKI」で原作綾辻行人、画佐々木倫子による『月館の殺人』の連載がスタートした。“鉄道ミステリ”と銘打たれているが、主人公となる沖縄の女子高生は、これまで電車に乗ったことがない設定。いきなり、ひねったことをやっている。その娘・空海(そらみ…

ラノベ関連本

『このライトノベルがすごい! 2005』 ISBN:4796643885 『このミステリーがすごい!』編集部・編のはずなのに、記事構成にあちらほど起伏がない。『ラノベ完全読本』みたいなインタビューや座談会がないので、データばかり羅列される印象が強い。特に1ページ…

『ファウスト Vol.4』

11月15日付けの文学フリマの雑記と同様、読み終わったものに関し、気が向いたらその都度感想メモを追記するかもしれない。ほかの本と並行して読んでるので、なかなかこの厚さを終えられない。自分、読むの遅いし……。 第一特集 文芸合宿! Live at 『ファウス…

文学フリマ

昨日、第3回文学フリマに行った。第1回の時は、西尾維新、佐藤友哉、舞城王太郎、太田克史参加の同人誌『タンデムローターの方法論』を購入し、並んでユヤタンのサインをもらうなんてこともしたけれど、第2回は行かなかった。で、第3回は、青山ブックセンタ…

高原英理『ゴシックハート』

ゴスロリやら球体関節人形やら、暗黒っぽいものの小ブームはあるのだから、こんなゴシック・カルチャー周遊本が登場するのも当然だろう。人外、残酷、身体、猟奇、異形、両性具有、人形、廃墟と終末など、各章ごとにテーマが設定され、作者の好みに応じてい…

『おたく:人格=空間=都市』

これは、同展日本館のコミッショナーをつとめた森川嘉一郎の著書『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』ISBN:4344002873、カタログの形に作り変えたようなものだ。「おたく」という人格が「秋葉原」という都市に実体化していった過程を検証した森川の仕事は、…

金原瑞人『大人になれないまま成熟するために』

大人になれないまま成熟するために―前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ (新書y)作者: 金原瑞人出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2004/10メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (22件) を見る金原ひとみのパパによる新書。娘は『蛇にピア…

「Comic新現実」に「悪魔のようなあいつ」、栗本薫

大塚英志プロデュース「Comic新現実」Vol.1、購入。とりあえず、旧作の再録「悪魔のようなあいつ」(阿久悠作・上村一夫画)をはじめて読む。掲載ページ冒頭にある解説では触れられていないが、この話のTV版が、ある意味でやおい、ボーイズ・ラヴの源流なの…

渋谷陽一と大塚英志

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前記、日本語版〈War & Peace〉の詩の朗唱には、ミスチル桜井、よしもとばなな、藤原帰一も加わっていた。いかにも筑紫哲也好みのラインナップである。と同時に、藤原と坂本は雑誌「SIGHT」で非戦をテーマに対談していたし、ばななはロッキング・オンから本…

レノンあれこれ

最近書いたもの 「“ジョン・レノン”像の軌跡――“イマジン”の過去と現在」 → 「THE DIG Special Issue ジョン・レノン」(シンコーミュージック)ISBN:4401618866 《ラヴ〜アコースティック・ジョン・レノン》と《ロックンロール リミックス&デジタル・リマス…

『雫』、再び大槻ケンヂ

「波状言論臨時増刊号 美少女ゲームの臨界点」の目次には、「『雫』の時代、青の時代。」、「『雫』の時代の終わりから」というタイトルがあった。この本では、『雫』が発売された1996年を美少女ゲーム運動のスタートととらえ、その後のあれこれを考察してい…

コミケ

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必要があって、東京ビッグサイトで開催中のコミケ3日目に行った。ただでさえ人が多いのに、雨降りで衣服が湿っぽいせいだろう、館内まで妙に蒸していて気持ち悪い。そんな高湿度のなか、画面から汁気がこぼれそうなエロ同人誌を売っていたりもするわけだから…

映画版『69 sixty nine』

映画版『69 sixty nine』を観てきた。単純に笑える娯楽青春映画になっていた。原作をちょこまか組み換えていても、イメージは崩していない。……というか、原作の場合、高校生の一人称だと思って読んでいくと、時おり“大人”になってからの村上龍が隙間から顔を…

滝本竜彦と大槻ケンヂ

最近書いたもの 「戦闘美少女&普通男子」(滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』文庫化と奈須きのこ『空の境界』に関するコラム) → 「ロッキング・オン・ジャパン」8月号 上記コラムでは、ジャパニーズ・ロック雑誌に掲載されるんだからも…

マッカートニーあれこれ

昨日、赤坂の東京写真文化館でリンダ・マッカートニー写真展を拝見した(今月25日まで開催中)。さほど広くないスペースに、彼女の遺作となった静物・風景のシリーズ(Wide Open)、自動車から撮影した作品(Road Works)など、モノクロ中心に約60点が展示さ…

ザ・フォーク・クルセダーズ、北山修/自切俳人

「ロック画報」16号が、ザ・フォーク・クルセダーズ(以下フォークル)を特集している。気合の入った内容で、未発表ライヴ収録のCDまで付いている。 同号には、メンバーだった加藤和彦ときたやまおさむ(北山修)の回顧インタヴューが掲載されている。そう…

ササキバラ・ゴウ『〈美少女〉の現代史』と渋谷知美『日本の童貞』と「ファウスト」

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〔「萌え」とキャラクター〕と副題のついた『〈美少女〉の現代史』は、おたくカルチャー的な意味での「美少女」の成立や、萌えの始まりをたどり直した新書本。著者は「新現実」VOL.2、3でもこのテーマに関連した文章を発表しているが、切り口は一貫している…

「近代文学の終り」と江戸文化

(2005/01/07記) 『ファウスト Vol.4』ISBN:4061794469のは、太田克史編集長が柄谷行人の講演録「近代文学の終り」に対し、〔かなりの衝撃を受けました〕と語っていたことだ。太田の発言は、『ファウスト Vol.4』に掲載された矢野優との対談「1年と、100年…

村上龍『69 sixty nine』

(「クロ(ック)ニクル/レヴュー」第5回 2004.9.3記) 映画化に伴い、そのポスターのデザインを流用した文庫新装版が出回っている。クリームの2nd《カラフル・クリーム》のサイケなジャケットをアレンジした表紙である。これを機会に久しぶりに読み返した…

映画『イージー・ライダー』

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(「クロ(ック)ニクル/レヴュー」第4回 2004.7.13記) ハーレーダビッドソンに、〈ワイルドで行こう〉である。ハンドルが後方にぐぐぐっと伸びた独特なフォルムのハーレーは、ライダーが寝そべり気味の、かなり傲慢に見える姿勢で運転する。それに乗った…

佐藤良明『ラバーソウルの弾みかた ビートルズと60年代文化のゆくえ』

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(「クロ(ック)ニクル/レヴュー」第3回 2004.6.2記) 60年代カルチャーに関する文章には、二種類ある。重点を67年におくか、68年におくか。ビートルズなら、レノンが〈ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ〉(LSD)を歌ったのが67年、〈レ…

四方田犬彦『ハイスクール1968』

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(「クロ(ック)ニクル/レヴュー」第2回 2004.5.25記) 映画、小説、漫画の評論で知られる四方田犬彦が、1968年の入学から、72年の大学合格まで、高校時代を振り返った本である。若者による反政府運動が各国で盛り上がり、ロックやフォークなどのユースカ…

《YES オノ・ヨーコ》展

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「ロックジェット」サイトのコラム連載をすべてこちらに移しました。 (「クロ(ック)ニクル/レヴュー」第1回 2004.5.10記) 東京都現代美術館 2004.4.17−6.27 会場に入ると間もなく、脚立が見えた。ビートルズ・ファンなら知っているアレだ。 梯子を上っ…