ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2005-01-01から1年間の記事一覧

もやしとラーメン

この雑記帖では基本的に、自分の作った料理を記録している(一部調理を手伝ってもらったものも混じっているが)。でも今日は珍しく、外食について記す。今夜は一人だったので、近所の店にて味噌坦坦麺を食した。味はそこそこ好みだった。 問題は、トッピング…

ドラマ版『電車男』にスティクス〈ミスター・ロボット〉

電子変調ヴォーカルといえば、先週放送のドラマ版『電車男』初回、オープニングの秋葉原のシーンで、いきなりスティクスの〈ミスター・ロボット〉が流れたのには驚いた。この曲のサビは、「ドモアリガート、ミスター・ロボット、ドモ、ドモ」という日本語が…

ブライアン・イーノ《アナザー・デイ・オン・アース》

《ビフォア・アンド・アフター・サイエンス》以来の本格的歌ものアルバムという話になっているが、初期のポップなフォーマットを期待してはいけない。ピーター・シュワルムとの共作《ドローン・フロム・ライフ》のようなアンビエント・サウンドに変調ヴォー…

石持浅海『扉は閉ざされたまま』

M

密室殺人もの――なのに、タイトル通り最後の最後までドアが開かず、しかも倒叙スタイルだという意欲作。 本格ミステリらしく洋館が舞台――なのに、そこはペンションになっており、しかも成城に立地している。高級と冠がつくにせよ「住宅地」という現実的な場所…

『推理小説年鑑 ザ・ベストミステリーズ2005』

レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジで有名なダブルネックギター、あるいはジェネシスのマイク・ラザフォードが弾いていたギターとベースが一体になったやつ。二人羽織みたいにもう一人いない限り、上下2本ぶんをいっぺんには弾けないわけだが、ああいう…

LIVE8

昨日深夜というか今日早朝に放送された「ライヴ8」ダイジェスト版を見る。 ロジャー・ウォーターズとデイヴ・ギルモアが久しぶりに並び演奏したサウンドは、確かにピンク・フロイドだった。ウォーターズのソロやギルモアズ・フロイドのライヴでは、優秀なサ…

太陽の塔と「太陽の季節」/カラスと飛行機

障子にペニス、沖ノ鳥島に石原慎太郎 部屋に小さいものをゴチャゴチャ増やすと怒られてしまうので、食玩は買わないようにしている。でも、我慢できずに買ってしまった、「タイムスリップグリコ 大阪万博編」。太陽の塔や三波春夫、月の石など、1970年の万博…

FENNESZ SAKAMOTO《Sala Santa Cecilia》

ASIN:B0009EM0UU クリスチャン・フェネスと坂本龍一の共演で全1曲19分。当然、ピーガーミャアミョ〜と鳴るエレクトロニカのインストである。 坂本は、フェネスのほかスティーヴ・ジャンセン、小山田圭吾らでバンドを組み、今夏、ツアーを行う。このうちジャ…

藤里一郎×伊坂幸太郎『死神の精度』写真展

映画の帰り、近くの青山ブックセンター本店に寄ってみると、伊坂幸太郎『死神の精度』の表紙および作中の写真を担当した藤里一郎の写真展をやっていた(7日19:00まで開催)。 青と黒を基調にした表紙の写真は、文字デザインの効果もあって、昔のジャズのLP…

映画『ノミ・ソング』

昨日、シアターイメージフォーラムで、80年代ニューウェイヴのあだ花、クラウス・ノミのドキュメンタリーを見た。あの異様なヘアスタイル&メイクのノミが、スカートをはいたデヴィッド・ボウイと共演したTV映像をはじめ、興味深い場面がいろいろ出てきた。…

松岡圭祐『ミッキーマウスの憂鬱』(と『ディズニーランド裏舞台』)

ちょっと前から気になっていたこの本を読む。 東京ディズニーランドでバイトし始めたちゃらんぽらんな若者が、夢の舞台を作る現場の喜びに目覚めるストーリー。前半は、文献か取材かで集めたのであろう舞台裏情報の数々を、小説の形に整理・紹介しようとする…

映画『リンダ リンダ リンダ』

ギターが指を骨折し、ヴォーカルまで抜けてしまった高校生ガールズ・バンド。キーボードの女の子は、やめたヴォーカルへの微妙な対抗心から担当楽器をギターにかえ、新編成で文化祭に出演することを決意する。そして、新ヴォーカルに韓国人留学生ソンさんを…

森谷明子『れんげ野原のまんなかで』

(本当はもっと早く別の場所に載せようと思っていた幻の書評のための走り書き) 図書館を舞台にした連作ミステリ。 市のはずれのススキ野原に立地し、訪れる人の少ない秋葉図書館は、土建先行の地方自治の典型だった。そこでは多数の書物をコードで管理して…

鯨統一郎『MORNING GIRL』

M

作者お得意の“トンデモ仮説”ものの長編。ただし、ロジックを積み上げて一つの図式に絞り込むよりも、トータルでは発想を広げる面白さにウエイトがある。なので、本格ミステリ色は薄く、SFとしてのテイストが勝っている。 地球でも、スペースアイランド「飛…

『〔冲方式〕ストーリー創作塾』

マンガの世界と同じく、作家にアシスタント制度を導入しよう――てなことは、昔からギャグとしては語られてきた。それを実際に推進している冲方丁による小説入門書。 他人の作品を引用し一般論で語るのではなく、冲方本人が自作をどのように書いたか紹介する形…

「手賀沼サマーランド」と〈埼玉ゴズニーランド〉

読まずに書く文芸時評(田中康夫のパクリ)第2弾、というわけでもないが……。 上記のごとく読了したので、『半島を出よ』をめぐる村上龍のインタヴューに目を通そうかと、地元の図書館で「群像」のバックナンバーを探していた。すると、6月号に群像新人文学賞…

村上龍『半島を出よ』

上巻は4月に目を通したのに、下巻に手をつけ読み終えたのはつい最近。ほかに読まねばならぬものが出てきたり、外的要因で中断した面もあるが、なんだか一気に読めなかったのである。というか、一気に読まなくてもいいと思ったのだ。 この小説は、(侵略者に…

「ディズニー・ロック・アラウンド・ザ・マウス」

24日、東京ディズニーランドへ出かけた。千葉県民割引期間の最終日だったんである。最近入園したのは東京ディズニーシーばかりだったから、ランドのほうは久しぶり。 お目当ては、ショー「ディズニー・ロック・アラウンド・ザ・マウス」。アメリカの本家ディ…

INTERNET BATON

この雑記用にと思い、さっきまである小説についてコメントを書いてたんだけど、意外に長くなりそうなので、別のスペース用に回すことにした(どっかから「またかよ」のツッコミの声が聞こえる)。なので、今日はアップする文章がなくなっちゃったなぁ……。 ――…

「クレヤボヤンス マイミクシィ」

創刊10周年記念の「小説トリッパー」2005年夏季号をめくってみると、朝日新人文学賞が発表になっていた。受賞作は楽月慎『陽だまりのブラジリアン』だが、落選した候補作のなかに、ちょびっと目立つタイトルがあった。 クレヤボヤンス マイミクシィ 佐東歩美…

Musical Baton

バトンを回していただいたので(from id:yomoyomo)書いてみる。 Total volume of music files on my computer(今コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 1.4GBくらいか。未だにCDから聞くことが多い。 Song playing right now(今聞いている曲) シ…

小路幸也『HEARTBEAT』

M YA

メフィスト賞受賞作家による青春ミステリ。 ニューヨークの「暗闇」から帰ってきた青年は、約束の場所におもむく。委員長は10年後、恋した不良少女にあるものを渡すはずだったのだ。しかし、夫と名乗る男が現れ、彼女は失踪したと告げる。青年は旧友の力を借…

倉橋由美子死去

10日に亡くなっていたのだという。黙祷。 高校から大学にかけて、大江健三郎、安部公房、倉橋由美子の文庫を、古本屋の100円均一などで買い集めていた。そしたら、誰かのエッセイで読んだのだ。この3人は、60年代の文学青年にとって三種の神器だった、と。あ…

エアロスミス〈ANGEL〉と《JOE PERRY》

『プライド』の〈ボーン・トゥ・ラヴ・ユー〉に続き、ドラマ『エンジン』ではエアロの〈エンジェル〉が使われている。で、シングルが再発されASIN:B0009OAWCS、エアロの既発ベスト盤も再プロモーションされたりしている。「えいんじぇぇえ〜」の歌いまわしが…

ミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』

一昨日、新宿コマ劇場にて観劇。会場に入ると、ステージに向かって右側と左側にバンドの入るスペースが設けてあった。ちょうど、歌舞伎における浄瑠璃と鳴り物の位置にあたる。実際に芝居が始まると、バンドの演奏ぶりもよく見える。なので役者だけでなく、…

朝日の朝刊「文学賞異変」

朝日新聞の今日の朝刊に、1面トップにするほどの内容じゃないと思うが、「文学賞異変」という記事が載っている(署名は「野波健祐」)。その見出しを並べると―― 文学賞異変 創設ラッシュ 審査員から作家外し テーマは「恋愛」「青春」「感動」 権威より販促 …

KRAFTWERK《MINIMUM−MAXIMUM》(LIVE)

《ツール・ド・フランス》リリース後のツアーから、各地の音源を編集したライヴ盤。とはいえ、クラフトワークみたいな打ち込み音楽だと、ステージで実際に“演奏する”部分は少ないし、あらかじめ作っておいた最新ヴァージョンをメンバー立ち会いのうえ会場で“…

烏賀陽弘道『Jポップとは何か−巨大化する音楽産業−』

けっこう評判がいいので読んでみた。いい新書だった。 テレビとの関係やオーディオの進化など、音楽の送り手・受け手双方のインフラの変化をたどり、“Jポップ”の誕生と盛衰を分析している。それも、いわゆる“シーンの先端”より、カラオケや着メロといった、…

鳥飼否宇『痙攣的』とジャーマン・ロック

虫世界で展開する珍品ミステリ『昆虫探偵』ISBN:433473877X、またもや変な小説。 この連作短編集『痙攣的 モンド氏の逆説』の各章&エピローグのタイトルは、ジャーマン・ロックの(旧)邦題である。どう対応しているかというと―― 「廃墟と青空」 → FAUS…

サンボマスター〜「野性時代」/「SFマガジン」

青少年相手に心理カウンセラーをやっている知人がサンボマスターのファンであることを、最近になって知った。驚いた。 だって、サンボマスターといったら、とにかく語りかけてくるわけですよ。言葉の決壊、声の洪水って調子で、山口隆が闇雲にどんどん迫って…