ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2005-01-01から1年間の記事一覧

映画『ベジャール、バレエ、リュミエール』

WOWOWで、映画『ベジャール、バレエ、リュミエール』(2002年)ASIN:B00069BM16。バレエ「リュミエール(光)」の稽古風景や衣裳あわせから、野外での上演までを追ったドキュメンタリーである。 モーリス・ベジャールの振付によるバレエは、映像も…

クリームとクイーンとフリー

山野楽器銀座本店7Fイベントスペースにて、クイーン+ポール・ロジャース《リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ》CD、DVD発売ASIN:B000BGIE6A、来日記念のヴィデオ・コンサートを見る。フレディ・マーキュリー在籍時の編集映像10分、ブライアン・メイ…

建石修志展

art

虹の獄、桜の獄作者: 竹本健治,建石修志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/15メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (17件) を見る 個展の案内状には〔本に微睡む 或いは 紙に浮かぶ夢〕とあった。本の装画を多く手がけてきた画家…

「ファミレス」という言葉(恩田陸『ユージニア』)

最近のお仕事 『ネクロポリス』ISBN:4022500603恩田陸インタヴュー構成 → 10月16日付朝日新聞朝刊 上記インタヴューをした際、ケイト・ブッシュのファンでもある『ライオンハート』ISBN:4101234159/ASIN:B000BDJ610、「ニューアルバムが出るらしいです…

東野圭吾『容疑者Xの献身』と歌野晶午『女王様と私』

M

内向的な変わり者の男をめぐるミステリ――という点では共通する2冊である。いずれも、恋愛に慣れていない男が想った女性のために奔走する話だが、主人公のあり方がこうも違ってくるものかねぇ。 『容疑者Xの献身』ISBN:4163238603、高校教師ではあるが実は…

「ストラトキャスター・ギター・フェス」

昨夜、WOWOWで放送された「ストラトキャスター・ギター・フェス」を見る。ストラトキャスター50周年を記念し、2004年9月24日にロンドンのアールズコートで開催されたもの。 ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラがメインになって、1曲…

綿矢りさ「You can keep it.」

(上記短編の展開に触れます) インストール (河出文庫)作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/05メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 166回この商品を含むブログ (285件) を見る 文庫化された『インストール』に追加収録された書下ろ…

本日の無益な会話

「最近、どうも頭が電池切れなんだよねー」 「どうせ電池入れたって、誤作動するだけのくせに」 1日夜の献立 鶏の照り焼き(醤油、みりん、ゴマ油、ローズヒップ酒) ゴーヤのゴマ和え(黒ゴマ、カツブシ、醤油、黒糖、はちみつ) もやしをチン(ポン酢) 山…

桜庭一樹『少女には向かない職業』

YA M

帯にある通り、中2女子13歳大西葵が人を殺す話。 葵の母親は、娘にこんなことを言ってしまう人である。 葵、ママだって人間なのよ。まだ若いし、やりたいこともある。葵がいなかったら、こんな島に残らずにまた東京に戻ってたと思うのよ。 母親は高卒で東…

ベビースター

近所のコンビにて、「ベビースターラーメン バーガー」なる商品があることに気づく。「ベビースター」は好きだけど、これはなぁ……。 袋にハンバーガーの写真があるってことは、ハンバーガー味を目標に開発したわけでしょ。でも、なぜ、ハンバーグ味じゃない…

クイーン+ポール・ロジャース《リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ》

来日前にリリースされたライヴ盤を聞く。クイーンはメンバー4人全員が曲を書いたわけだけれど、フレディ・マーキュリー作のナンバーを減らした分、ポール・ロジャースの持ち歌を入れている。つまり、ピアノの目立つ曲が減ったかわりに、ハード・ロックが増…

『女王の教室』最終回

YA

昨夜は『女王の教室』の最終回だった。 で、修道女みたいな、黒ずくめ完全防備のヒロインの衣裳を見ていて、あらためて思った。教師が児童相手に圧倒的な上下関係を作り上げ、これほどこの世の不公平さやどうにもならなさを突きつけ、一人一人を理不尽なまで…

西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』

結末に触れているので、読む前にご承知を…… 「ファウスト」ではなく「メフィスト」に掲載された短編を集めた本だが、いっそのこと「群像」に載せればよかったのに、と思うような文学っぽさがある。「ファンタジー小説」って名称でライトノベルを並べる本屋が…

ミステリと再読

M

「本格ミステリ・マスターズ」から出た奥泉光『モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』、読了。ある童話作家の遺稿をめぐる、けったいな話だった。「駄洒落大辞典」の編纂に注力したという春狂亭猫介、僕は好きである。 太宰治(小説家) 「…

『女王の教室』の天海祐希/ついでに摩邪

昨夜、久しぶりに『女王の教室』を見て、ふと思った。このドラマで鬼教師役の天海祐希は、“私は決して動じません”って空気を出すために、低く硬い声でゆっくり話す。この声色って、彼女が宝塚の男役だった頃に近い。『風と共に去りぬ』のレット・バトラー役…

この夏、ディープ・パープルの思い出

最近書いたもの サマーソニック2005のレポートの一部 → 「BUZZ」サマー・ロック・フェス特集号 それにしても、2005年にもなってディープ・パープルのステージを拝むことになろうとは思わなんだ。僕が前回パープルを見たのは、ジョー・リン・ターナー在籍…

菊地成孔とオレンジレンジ

『CDは株券ではない』 『CDは株券ではない』ISBN:4835615638、Jポップシングルのレヴュー集としては、面白かった。ただし、語り口はべつに新しくない。 著者の菊地は前書きで、 我が国の「流行歌〜歌謡曲」を俎上に乗せ、それを「評論」する。と称して…

『DEATH NOTE』8巻

YA

一人の高校生が「死のノート」を手に入れたことによって、全世界の人々に死を与えうる力を持つようになる。そんな“一対全”の図式でスタートしたこのマンガも、初期設定の応用に次ぐ応用を重ねた結果、物語はどんどん“多対多”の形へインフレ化してきたのだっ…

ほしおさなえ『天の前庭』

M YA

大下さなえ名義の「くらげ」という詩を、誰かの引用で読んだのが、著者の作品に触れた最初だった。彼女のいくつかの詩は、ここで読める。 http://homepage1.nifty.com/kyupi/ 彼女の詩は、つかみどころのないイメージを、つかみどころのないまま手応えのある…

トリビュート盤《KILLER QUEEN》

クイーン+ポール・ロジャースのライヴ盤が間もなくリリースされ、来日も控えている。それに先駆けて、メンバー公認らしきトリビュート盤《KILLER QUEEN》(現在輸入のみ)が発売された。 オリジナル・アレンジにないアコギを入れたり、R&B的な…

“郵政的不安”、とかいってみたり

あまり報道されていないことだが、今回の衆議院選に向け、某野党が一時期、東浩紀に出馬を要請していたという。これは東に『郵便的不安たち』という著書があったのを、郵政民営化に対する懸念を論じた内容と党幹部が思い込んだためのようだ。 とはいえ、郵政…

北村薫『ニッポン硬貨の謎』

M

国名シリーズをもじったタイトルがつけられ、小説中では前期エラリー・クイーン論が展開される。扱われる事件のほうは、『九尾の猫』ISBN:4150701180イーン風のもの。しかも、作家エラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ)の来日エピソードを下じきに、名…

夏休み

10日以上は間をあけない、と決めているので、取り急ぎ書き込みを。 たちの悪い夏風邪を引きずり、咳や鼻水が止まりませぬ。熱も引いたかと思えば、ぶり返す状態。ここ数週間は炊事から遠ざかり、仕事も滞っておりまする。なので、この雑記帖はもうしばらく夏…

宣言

夏バテです。なので、 この雑記帖を始めてからちょうど1年くらいの頃、ブログとの付き合いをどうしたもんかな、と考えてたところにこの本を読み、気が楽になった、というか、気楽でいいじゃん、となりました。「書くこと」に関する最近の好著の一つだと思い…

「ユリイカ 特集 雑誌の黄金時代」

YA

見ようによっては、「特集 ブログ作法」の姉妹編的な特集。 落ち着いて感想を記す余裕がないので、思ったことを、走り書きで2点ばかり。 近藤正高id:d-sakamataが調べの執念をみせた(お疲れ様でした)「みーんな投稿欄から大きくなった サブカルチャー雑誌…

エイドリアン・ブリュー、CGT with トニー・レヴィン

昨日、shibuya O−Eastにて。出演順。 The California Guitar Trio with Tony Levin 4人でポーズを決めながら演奏する姿がなんともおかしい。やはり聞きものは、キング・クリムゾン〈スキゾイド・マン〉のフレーズを無理矢理織り込んだ〈21世紀…

目玉焼きの発明

28日夜の献立 黒舌平目のムニエル(オリーブオイル、バター、刻みニンニクで焼いた残り汁にタンカンジュース、粒マスタードを加えてソースに。タンカンは柑橘の一種) 赤キャベツ千切りにツナ(梅しょうゆドレッシング) 玄米1:白米1のごはん 大根、きゅう…

坂本龍一 JAPAN TOUR 2005

台風でどうなるかと思ったが、大丈夫だった。昨日、Zepp Tokyoで坂本龍一のライヴを見た。 1曲目の〈Behind The Mask〉は、原形のイメージをさほど崩さないアレンジだったので、今回の「10年ぶりのバンド・ツアー」というキャッチ・フレーズが連想…

地震と屋形船

一昨日の地震で、浦安市は震度5弱だった。不思議というか幸いなことに、我が家では本やCDが崩れる惨事にはならなかった。 しかし、京葉線は7時間もストップしたままだったという。新聞やテレビの報道では、ディズニーリゾートから帰れなくてJR舞浜駅の…

〈本田博太郎〉

先日、日テレ系の「火曜サスペンス劇場」が打ち切られるとの報道があった。まぁ、似たり寄ったりの2時間サスペンスを複数局で毎週流しているのだから、一つ二つ減ったって当たり前ではある。 そんな逆風にさらされる2時間サスペンスにエールを送るかのよう…